わくわく題詠鳩の会兼題解説

◆ 兼題解説 寒・葱 ◆

寒(かん)
芭蕉句 干鮭も空也の痩せも寒の内
塩鯛の歯ぐきも寒し魚の店
〔本意・形状〕 寒は「寒の入り・小寒」(一月五日頃)から大寒(一月二一日頃)を経て寒明け「節分、立春」の前日(二月三日頃)までのおよそ三十日間をいう。
この期間を「寒の内」とよび、一年のうちで最も寒さが厳しい時期にあたる。寒に入って四日目を寒四郎、九日目を寒九郎という。
〔季題の歴史〕 『栞草』(嘉永四)に十二月として所出。
〔類題 傍題〕 寒の内 寒中 寒四郎 寒九郎 寒九 大寒 小寒
〔例   句〕 寒菊や粉糠のかかる臼の端       芭蕉
夕焼けに野川が沁みつ寒の入   水原秋桜子
大寒の一戸もかくれなき故郷    飯田龍太
捨水の即ち氷る寒に在り      池内たけし
原爆図中口あくわれも口あく寒   加藤楸邨
葱(ねぎ)
芭蕉句 葱白く洗ひたてたる寒さかな
〔本意・形状〕 ゆり科の多年草。原産は中国、シベリアなど推定されるが、日本人に欠かせない冬野菜である。関東では深谷葱、千住葱等が知られ、白い部分の長い根深葱が作られ、また、太くて美味な下仁田葱なども人気がある。一方関西では緑の葉の部分が長い九条葱が伝統的に好まれている。
〔季題の歴史〕 『毛吹草』『増山の井』以下、十月、十一月、または兼三冬として「葱」を掲出。「島原や葱の香もあり夜の雨 言水」(『続都曲』)。
〔類題 傍題〕 一文字(ひともじ)、根深(ねぶか)、葉葱、葱畑、晒葱(さらしねぎ)
〔例   句〕 葱買うて枯れ木の中を帰りけり     蕪村
夢の世に葱を作りて淋しさよ    永田耕衣
楚々として象牙のごとき葱を買ふ  山口青邨 
少年の放心葱畑に陽が赤い     金子兜太
白葱のひかりの棒をいま刻む    黒田杏子
(根本梨花)


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