わくわく題詠鳩の会兼題解説

◆ 兼題解説 蕨・残雪 ◆

蕨(わらび)
〔本意・形状〕 シダ類ウラボシ科の多年草。わらび、ぜんまいと併称される。
早春、日当たりのよいところに、地下茎から芽が出て、こぶしをまるめたような形をしている。山野に春を告げる代表的な植物である。
『万葉集』巻八の志貴皇子の歌が有名。「石(いわ)ばしる垂水(たるみ)の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも」。食用としても好まれ、蕨採、蕨狩、に出掛けて採集し、蕨飯、蕨餅などにする。
〔季題の歴史〕 『堀川百首』に「紫の塵うち払ひ春の野にあさる蕨はものかげにして」。
『古今六帖』草に題として所出。○「早蕨」として、連『連珠合壁集』(文明八)に春、連『至宝抄』(天正一四)に一月、『毛吹草』(正保二)連歌四季の詞以下に一月として所出。「蕨」として、『初学抄』『便船集』などに三月とするも『増山の井』(寛文七)以下二月とするものが多い。
〔類題 傍題〕 岩根草 山根草 蕨手 早蕨 初蕨 煮蕨 蕨飯 蕨汁 老蕨 干蕨
〔例   句〕 負ふた子に蕨をりてはもたせける     暁台
築山の根じめに萌るわらびかな      大原其戎
金色の仏ぞおはす蕨かな         水原秋桜子
道端に早蕨売るや御室道         高野素十
早蕨や若狭を出でぬ仏たち        上田五千五石
(堀口希望)

残雪(ざんせつ)
〔本意・形状〕 春になってもまだ残っている雪のことである。富士山をはじめとして白く輝く遠山の残雪は、菜の花、杏の花、桜などが咲く頃まで残るので、色彩の対比もことのほか美しい。同じ消え残る雪でも「残る雪」は少しニュアンスがことなり、裏庭や物陰、畠の隅や道端などに残る雪で、日陰雪、陰雪などど表現されることが多い。
〔季題の歴史〕 『堀河百首』『夫木和歌抄』の題に「残雪」として初出。○連『連理秘抄』(貞和五)、『花火草』(寛永一三)に「残る雪」、『山の井』(正保五)に「こぞの雪」、『御傘』(慶安四)に「残る雪」「雪の名残」、『曲尺』(明和八)に「名残の雪」などを初出。
〔類題 傍題〕 残る雪 雪残る 雪の名残 陰雪(かげゆき)日陰雪(ひかげゆき)去年の雪(こぞのゆき) 雪形(ゆきがた)
〔例   句〕 藪かげや足軽町の残る雪        凡兆
雪残る頂一つ国境         正岡子規
傷のごと山の額に残る雪      松本たかし     
残雪の山ひとつづづふるさとへ   飯田龍太
裏口になほ残雪の頑固もの     成田千空
(根本梨花)


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