わくわく題詠鳩の会兼題解説

◆ 兼題解説 霧・草花 ◆

霧(きり)
〔本意・形状〕 空気中の水蒸気が凝結して細かい水滴となり、地表近くの大気中に煙のようになっている自然現象。
〔季題の歴史〕 古くは四季を通じて用いたが、平安時代以降は春立つものを霞(かすみ)、秋立つものを霧という伝統的美の概念が成立した。現在、気象用語としては季節にかかわりなく用いられている。
〔類題 傍題〕 朝霧 夕霧 夜霧 山霧 海霧 狭霧 霧襖 野霧 霧雨 濃霧 霧の海、霧の籬 胸の霧 心の霧 
〔例   句〕 霧しぐれ富士を見ぬ日ぞ面白き      芭蕉
霧黄なる市に動くや影法師        夏目漱石
白樺を幽かに霧のゆく音か        水原秋桜子
四百の段の室生寺霧はやし        石原八束
月山といへ一切の霧の中         岸風三楼
(堀口希望)

草花(くさばな)
〔本意・形状〕 秋に咲くいろいろの草の花をさす。『改正月令博物筌』に「諸草の花は多く秋咲くゆゑ、季とす。萩・葛・女郎花・撫子、その他何によらず秋咲く花をいふ」とある。秋咲く草の花は地味で可憐なものが多い。
〔季題の歴史〕 『枕草子』六十四段に「草の花は、なでしこ。をみなへし。桔梗。あさがほ。刈萱。菊。壺菫。竜胆。かまつか。かにひの花。萩。八重山吹。夕顔。しもつけの花。あしの花。薄。の名をあげているが、壺菫と、八重山吹は春で、しもつけの花と夕顔は夏に咲く花である。
〔類題 傍題〕 草の花 草の初花 千草の花 野の花 百草の花(ももくさのはな)
〔例   句〕 草いろいろおのおの花の手柄かな      芭蕉
草の花ひたすら咲いてみせにけり      久保田万太郎  
やすらかやどの花となく草の花       森澄雄
手をふれて胸まで濡るゝ草の花       飴山實
がんばるわなんて言うなよ草の花      坪内稔典
(根本梨花)


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