わくわく題詠鳩の会兼題解説

◆ 兼題解説 冬月・千鳥 ◆

冬月(ふゆづき)・冬の月(ふゆのつき)
〔本意・形状〕 寒々とした冬の月は、透徹した空気のためとぎすまされたような美しさがある。寒月と言えばさらに凍てついた月の感じである。『枕草子』は「すさまじきもの媼の化粧、師走の月」とする。これを『源氏物語』朝顔の巻で紫式部が「すさまじきためしに言ひ置きけむ人の、心浅さよ」と言っている。
〔季題の歴史〕 『万葉集』巻十・冬雑に、「さ夜更けば出で来む月を高山の峰の白雲隠しなむかも」。其角に「この木戸や鎖のさされて冬の月」があり、「柴の戸」と読みあやまった芭蕉が、「此木戸」であると知って『猿蓑』を改めさせた話がある。
〔類題 傍題〕 月冴ゆる、月凍る、寒月、冬三日月、寒三日月
〔例   句〕 襟巻きに首引き入れて冬の月  杉風
鳥影も葉に見て淋し冬の月   千代女
我影の崖に落ちけり冬の月   柳原極堂
寝ぬる子が青しといひし冬の月 中村汀女
あたたかき冬月幸を賜るや   石田波郷
(堀口希望)

千鳥(ちどり)
〔本意・形状〕 全長15センチ~20センチくらい、体の下面が白く、頭部に黒斑があるものが多い。川岸・河原などにすみ小動物を捕食する。
多くは渡り鳥であるが、日本で繁殖する種類にシロチドリ、コチドリ、イルカチドリがある。(日国参照)
〔季題の歴史〕 『万葉集』の「淡海の海夕波千鳥汝が鳴けばこころもしのにいにしへ思ほゆ」以来日本の詩歌に愛されてきた鳥である。
『山の井』に、「千鳥は磯部・浜辺などにちり飛んで友を呼び、川風寒み鳴きかはすけしきなどを、千鳥掛けとも千鳥足とも言ひてつらねなしはべる」と言う。
〔類題 傍題〕 磯鳴鳥(いそなどり)、海千鳥、浦千鳥、川千鳥
〔例   句〕 星崎の闇をみよとや啼く千鳥   芭蕉
吹き別れ吹き別れても千鳥かな  千代女
月をこぼるゝ千鳥かな       飯田蛇芴
夕千鳥波にまぎれし如くなり    高浜年尾
走り寄り二羽となりたる千鳥かな  中村汀女
(根本文子)


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