白山俳句会会報 No.65

白山句会 白山句会報第65号

  □日時 2025年6月21日(土)
  □会場 江東区芭蕉記念館 本館1階会議室


 梅雨晴れの暑い日でしたが、18名の方々に参加していただきました。
 初めて参加された市川千恵美さんは、涼やかな明るい水色のお着物で、とても素敵でした。芭蕉記念館の近くで日本舞踊を教えておられるそうです。その市川さんの「緑陰やいつも誰かがゐるベンチ  千恵美」が一番票数の多かった句です。
 芭蕉会議に新しいお仲間が増え、「この地にて玉巻く芭蕉句座集ふ つくし」と青柳さんの句どおりに楽しい句会になりました。 <エール記>

〈 俳 話 少 々 〉

 白山句会報第64号に「毎回同じ句会場でも異なる四季の表情を見せてくれるので嘱目句に挑戦してください」とお願いしたところ、ちちろさんが「早めに来て、ひとまわりしたよ」と語ってくれました。氏の「宙返りする夏つばめ」の句を見落としたことを反省しています。
 草栞さんの文化活動拠点の紹介、千恵美さんの手堅い写生句など、刺激的な一日になりました。
 芭蕉会議は「芭蕉の教えに従えばこういう句会になるだろう」と工夫した集まりです。肌に合えば、引き続きご参加ください。<海紅記>


〈 句 会 報 告 〉

 互選は三句投句、五句選の結果です。ただし、海紅選は詩情の有無を優先して、五句を超える数を選んでいますので、互選の点数に含めてはおりません。なお、一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で表現を改めたものがあります。<海紅記>


☆ 谷地海紅選 ☆

白きシャツ輝いてゐる猛暑かな こま女
大川の風心地よし花芭蕉 千年
根付屋も菓子屋もありぬ夏不動 貴美
夢でしか逢へぬ姉達明け易し 和子
蟻の列地下の風雅のありありと 宏美
掌のゐごこち如何に蝸牛 宏美
花あやめ女子もばあばもスマホ出し 窓花
信号が青に変はつて白日傘 うらら
ふはふはと飛んでゆきたげ夕牡丹 馨子
緑陰やいつも誰かがゐるベンチ 千恵美
どくだみの白を愛して独居かな 月子

☆ 互選結果 ☆

7 緑陰やいつも誰かがゐるベンチ 千恵美
6 どくだみの白を愛して独居かな 月子
5 軒下に紙垂揺るる街祭来る 千恵美
4 交野から土佐からも友句座涼し 海紅
4 譜面読む少女のうなじ夏兆す うらら
4 掌のゐごこち如何に蝸牛 宏美
4 句会あり長き一日今日は夏至 ふみ子
3 歳時記を伏せて暫く夜の秋 ひぐらし
3 存ることが今の大事や凌霄花 梨花
2 立葵酒すすめる手細かりし 安愚楽
2 立ち話してゐる間のみ涼し 海紅
2 夢でしか逢へぬ姉達明け易し 和子
2 時を止め沙羅の蜜吸う揚羽かな 草栞
2 時つなぐ友のたよりや若葉風 玄了
2 緑陰に引綱はなれ犬坐る こま女
2 大川の風心地よし花芭蕉 千年
2 鉄橋で川を渡るや夏の風 貴美
2 夏つばめ川面をかすめ宙返り ちちろ
2 小仕事を大工に頼み梅雨に入る 月子
2 あんぱんの真中にえくぼ薄暑光 つくし
2 卯の花や友とさよなら道しるべ 美知子
1 戻りたし梅雨なき里に黒髪に 海紅
1 信号が青に変はつて白日傘 うらら
1 朝顔をネイルに咲かす日曜日 和子
1 家主の御霊弔ふ夏椿 喜美子
1 ふはふはと飛んでゆきたげ夕牡丹 馨子
1 大川の水面に映ゆる四葩かな 草栞
1 白きシャツ輝いてゐる猛暑かな こま女
1 涼み船おしのびなれどペアのシャツ
1 どくだみに疎む子犬の悲鳴かな
1 紫陽花やしばしとどめる車椅子 千年
1 根付屋も菓子屋もありぬ夏不動 貴美
1 この地にて玉巻く芭蕉句座集ふ つくし
1 山梔子の目覚めの白のなお白し つゆ草
1 端居してあの日あの時あの笑顔 つゆ草
1 蟻の列地下の風雅のありありと 宏美
1 梅雨晴れや波頭瞬く隅田川 ふみ子
1 弱虫の蟻に曳かるる浅田飴 正子
1 から梅雨の空に刺さらんスカイツリー 窓花
1 ぬひぐるみ抱き寄せ夏至の駅を降り 真美
1 空梅雨の演説江戸つ子訛りらし 真美
1 紫陽花や夕暮れの底悲しけり 美知子

☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、青柳つくし、市川千年、市川千恵美、大江月子、荻原貴美、尾崎喜美子、尾見谷静枝、梶原真美、鈴木草栞、世羅安愚楽、田中正子、千葉ちちろ、中里蛙星、中村こま女、内藤玄了、平塚ふみ子、村上エール(以上18名)

☆ 欠席投句者 ☆ <順不同・敬称略>
磯部和子、植田ひぐらし、宇田川うらら、佐藤馨子、椎名美知子、丹野宏美、西野由美、根本梨花、古崎笙、眞杉窓花、三木つゆ草(以上11名)

<取りまとめ、エール記>
< 了 >



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