白山俳句会会報 No.64

白山句会 白山句会報第64号

  □日時 2025年4月13日(日)
  □会場 江東区芭蕉記念館 分館会議室


 今回の会場は、芭蕉会議の集いでも利用した芭蕉記念館分館会議室でした。
前日の好天から一転、雨模様の句会となりました。
このところの気温差などからか、体調を崩された方が数人欠席されましたが、14名の方にご参加いただきました。
 遠方から久しぶりに参加された方もおられ、和気あいあいとした会となりました。
受付その他で、お手伝いいただき心よりお礼申し上げます。 <玄了記>

〈 俳 話 少 々 〉

 4月13日(日)の白山句会。当日の雨をあいにくの天候と思う人もいたでしょう。しかし、ボクは「花の雨」(天文)、「落花」(植物)、そして「花冷え」(時候)という三つの世界にひたれる好運な一日だったと満足しています。
 ただし、そういう思いで詠まれた句は恵基さんの「桜散り芭蕉の像もさびしげに」で、他の句々は自宅から持ち寄った句が多かった。それでは欠席投句に等しく、墨田川や芭蕉記念館(別館)に集まった意義は浅いと思います。われわれの日常と同じく、あの会場周辺も毎回表情を変えてくれます。嘱目・再会という姿勢を大切にしていただきたく、こんなことを述べてみました。<海紅記>


〈 句 会 報 告 〉

 互選は三句投句、五句選の結果です。ただし、海紅選は詩情の有無を優先して、五句を超える数を選んでいますので、互選の点数に含めてはおりません。なお、一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で表現を改めたものがあります。<海紅記>


☆ 谷地海紅選 ☆

桜散り芭蕉の像もさびしげに 恵基
陸奥の旅芭蕉に惹かれ桜追ひ 恵基
桜吹雪帰国叶はぬ移民碑に 梨花
春惜しむ濡れし老眼鏡拭ひ ちちろ
ふらここや微笑むやうに揺れ残る うらら
しやぼん玉確かな約束などはない 正子
川登る三千匹の鯉のぼり つくし
春の雲点眼に目を瞑る癖 馨子
蝶の舞羽を休める間も惜しみ 草栞
花の雨駅のAIアナウンス 真美
春興や二回転舞ふ猿若も 蕾花

☆ 互選結果 ☆

4 列島を巡礼のごと桜風 うらら
4 春惜しむ濡れし老眼鏡拭ひ ちちろ
4 見返りて又見返りて花ふぶき つゆ草
3 空つぽの弁当箱に花ぼこり 蛙星
3 キッチンカーの屋根塗り替へる桜かな ちちろ
3 いさかひもへつらひもなく花筏 宏美
3 桜吹雪帰国叶はぬ移民碑に 梨花
2 歩くことそれも春意のひとつかな 蛙星
2 花の雨再会はばむほどならず 海紅
2 花冷えを侮るなかれいとはれよ 海紅
2 再会にはやる心や花の雨 海紅
2 さざめきは風の形に雪柳 うらら
2 傘閉ぢて花びらつれて都電乗り 玄了
2 春の声いまだに遠しウクライナ
2 ゆるやかな風に目覚めぬ花水木 つくし
2 春興や二回転舞ふ猿若も 蕾花
2 玉筆の香のおとろへず花の雨 蕾花
2 企画展の巨大ポスター夏近し ひぐらし
2 姦しきワイングラスや春惜しむ ひぐらし
2 春雨にけぶる大川浚渫船 由美
1 Tシャツを下着代わりに春の風 玄了
1 ビル街の八重山吹やカフェのJAZZ 貴美
1 春の雨句会の朝や深呼吸 貴美
1 地異天変いいじやないかと桜咲く 月子
1 川登る三千匹の鯉のぼり つくし
1 春も干す濡れてそのまま古い紙 蕾花
1 道行けば俳句日和の花の雨 つゆ草
1 気が付けば森羅万象風光る つゆ草
1 月おぼろラフマニノフをレコードで ふみ子
1 重さうなリュックですね啄木忌 正子
1 しやぼん玉確かな約束などはない 正子
1 春の川隔てて見知つた顔を見る 窓花
1 スタバ持ち出社してみる春の朝 窓花
1 陸奥の旅芭蕉に惹かれ桜追ひ 恵基
1 明日は廃校春の花火を身に浴びて 梨花

☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、青柳つくし、宇田川うらら、大江月子、荻原貴美、田中正子、丁子蕾花、 内藤玄了、根本梨花、平塚ふみ子、眞杉窓花、三木つゆ草、宮野恵基、宮野明子 (以上14名)

☆ 欠席投句者 ☆ <順不同・敬称略>
植田ひぐらし、尾見谷静枝、梶原真美、佐藤馨子、鈴木雅実(草栞)、丹野宏美、 千葉ちちろ、中里蛙星、西野由美、古崎笙(以上10名)

<取りまとめ、エール記>
< 了 >



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