□日時 2025年4月13日(日)
□会場 江東区芭蕉記念館 分館会議室
〈 俳 話 少 々 〉
4月13日(日)の白山句会。当日の雨をあいにくの天候と思う人もいたでしょう。しかし、ボクは「花の雨」(天文)、「落花」(植物)、そして「花冷え」(時候)という三つの世界にひたれる好運な一日だったと満足しています。
ただし、そういう思いで詠まれた句は恵基さんの「桜散り芭蕉の像もさびしげに」で、他の句々は自宅から持ち寄った句が多かった。それでは欠席投句に等しく、墨田川や芭蕉記念館(別館)に集まった意義は浅いと思います。われわれの日常と同じく、あの会場周辺も毎回表情を変えてくれます。嘱目・再会という姿勢を大切にしていただきたく、こんなことを述べてみました。<海紅記>
〈 句 会 報 告 〉
互選は三句投句、五句選の結果です。ただし、海紅選は詩情の有無を優先して、五句を超える数を選んでいますので、互選の点数に含めてはおりません。なお、一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で表現を改めたものがあります。<海紅記>
☆ 谷地海紅選 ☆
桜散り芭蕉の像もさびしげに | 恵基 | ||
陸奥の旅芭蕉に惹かれ桜追ひ | 恵基 | ||
桜吹雪帰国叶はぬ移民碑に | 梨花 | ||
春惜しむ濡れし老眼鏡拭ひ | ちちろ | ||
ふらここや微笑むやうに揺れ残る | うらら | ||
しやぼん玉確かな約束などはない | 正子 | ||
川登る三千匹の鯉のぼり | つくし | ||
春の雲点眼に目を瞑る癖 | 馨子 | ||
蝶の舞羽を休める間も惜しみ | 草栞 | ||
花の雨駅のAIアナウンス | 真美 | ||
春興や二回転舞ふ猿若も | 蕾花 |
☆ 互選結果 ☆
4 | 列島を巡礼のごと桜風 | うらら | |
4 | 春惜しむ濡れし老眼鏡拭ひ | ちちろ | |
4 | 見返りて又見返りて花ふぶき | つゆ草 | |
3 | 空つぽの弁当箱に花ぼこり | 蛙星 | |
3 | キッチンカーの屋根塗り替へる桜かな | ちちろ | |
3 | いさかひもへつらひもなく花筏 | 宏美 | |
3 | 桜吹雪帰国叶はぬ移民碑に | 梨花 | |
2 | 歩くことそれも春意のひとつかな | 蛙星 | |
2 | 花の雨再会はばむほどならず | 海紅 | |
2 | 花冷えを侮るなかれいとはれよ | 海紅 | |
2 | 再会にはやる心や花の雨 | 海紅 | |
2 | さざめきは風の形に雪柳 | うらら | |
2 | 傘閉ぢて花びらつれて都電乗り | 玄了 | |
2 | 春の声いまだに遠しウクライナ | 笙 | |
2 | ゆるやかな風に目覚めぬ花水木 | つくし | |
2 | 春興や二回転舞ふ猿若も | 蕾花 | |
2 | 玉筆の香のおとろへず花の雨 | 蕾花 | |
2 | 企画展の巨大ポスター夏近し | ひぐらし | |
2 | 姦しきワイングラスや春惜しむ | ひぐらし | |
2 | 春雨にけぶる大川浚渫船 | 由美 | |
1 | Tシャツを下着代わりに春の風 | 玄了 | |
1 | ビル街の八重山吹やカフェのJAZZ | 貴美 | |
1 | 春の雨句会の朝や深呼吸 | 貴美 | |
1 | 地異天変いいじやないかと桜咲く | 月子 | |
1 | 川登る三千匹の鯉のぼり | つくし | |
1 | 春も干す濡れてそのまま古い紙 | 蕾花 | |
1 | 道行けば俳句日和の花の雨 | つゆ草 | |
1 | 気が付けば森羅万象風光る | つゆ草 | |
1 | 月おぼろラフマニノフをレコードで | ふみ子 | |
1 | 重さうなリュックですね啄木忌 | 正子 | |
1 | しやぼん玉確かな約束などはない | 正子 | |
1 | 春の川隔てて見知つた顔を見る | 窓花 | |
1 | スタバ持ち出社してみる春の朝 | 窓花 | |
1 | 陸奥の旅芭蕉に惹かれ桜追ひ | 恵基 | |
1 | 明日は廃校春の花火を身に浴びて | 梨花 |
☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、青柳つくし、宇田川うらら、大江月子、荻原貴美、田中正子、丁子蕾花、
内藤玄了、根本梨花、平塚ふみ子、眞杉窓花、三木つゆ草、宮野恵基、宮野明子
(以上14名)
☆ 欠席投句者 ☆ <順不同・敬称略>
植田ひぐらし、尾見谷静枝、梶原真美、佐藤馨子、鈴木雅実(草栞)、丹野宏美、
千葉ちちろ、中里蛙星、西野由美、古崎笙(以上10名)
<取りまとめ、エール記>
< 了 >