□日時 2026年3月21日(土)
□会場 (株)カルテモ事務所
<真美記>
〈 俳 話 少 々 〉
私は俳句を詠むとき、「歴史的仮名遣い」及び「促音を大きく表記」という伝統、すなわち「しきたり(ならわし)」を受け容れています。詩語とは古典を含む幅広い日本語であり、現代語(明治以降の言葉)と現代仮名遣いのみで十七拍の詩を構成するという了見は狭いと思っているからです。古人にも誤記、また仮名遣いや文法の間違いはありますし、私もたまに失敗します。間違えることはあっても、詩作の上では、文語(書き言葉)も口語(話し言葉)も、古語(江戸以前の言葉)も現代語も同じ日本語の領域(フィールド)にある財産だから捨てないでほしいと思っています。豊かな伝統を自分で放棄することはないのです。
以上の理由から人様の表現に手を入れることはありますが、最終的に表現は詩人自身が決定すべきです。誰やらが「悲しみ尽くすには、人生は短すぎる」と書いているのを目にしたことがあります。一面の真実であることは認めますが、言葉は残ります。どうか最後は自分で御判断いただき、心の花の創造によって自己実現をめざしてください。
〈 句 会 報 告 〉
互選は三句投句、五句選の結果です。ただし、海紅選は長く俳句を続けていただく手立てのひとつとして、五句を超える数を選んでいますので、互選の点数に含めておりません。なお、一部の作品について、作者の意図をそれない範囲で表現を改めたものがあります。<海紅記>
☆ 谷地海紅選 ☆
○印は本選
| ○ | 雪解川少し勇気をもらひけり 《注》言外に横たわる悲しみが届きました。 |
喜美子 | |
| ○ | 合掌土偶の長き祈りや水温む 《注》「合掌土偶」の知識が必要ですが整っています。 |
梨花 | |
| ○ | 花の山少し迷つて二万歩に 《注》異質の二つ(歩数計と花見)による風狂が心地よい。 |
千年 | |
| ○ | 最終の同窓会や春の月 《注》おぼろげな「春の月」が、己が人生を納得させてくれます。 |
宏美 | |
| ○ | 空つぽの校庭惜しむ春の風 《注》「春の風」で結ぶ上品さは詩人だと思います。 |
京子 | |
| 花冷えや予備校廊下に君を待つ | 玄了 | ||
| 背すぢいま伸ばしてゆかむつくづくし 《注》土筆をみて背筋を伸ばすという主観に辿り着くとところが腕前。 |
正子 | ||
| 花の雨津波到達碑を洗ふ | 梨花 | ||
| 子は母に感謝の手紙卒業日 《注》こんな手紙は何度も貰えまい。 |
つくし | ||
| 鳥雲に超高層の喫茶室 《注》「鳥雲に」は「鳥雲に入る」の省略形です。 |
宏美 | ||
| ピカチュウの揺れるリュックや暖かし | 真美 | ||
| 水門の前が定位置残る鴨 | 真美 |
☆ 互選結果 ☆
| 5 | 空つぽの校庭惜しむ春の風 | 京子 |
| 4 | 花の雨津波到達碑を洗ふ | 梨花 |
| 4 | 花前の老いたる木々もほの赤く | 梨花 |
| 3 | 雪解川少し勇気をもらひけり | 喜美子 |
| 3 | 虫穴を出て出逢ふ人皆句友 | 海紅 |
| 3 | 最終の同窓会や春の月 | 宏美 |
| 3 | 三・一一その語り部の若々し | 千年 |
| 3 | 日本橋翁斧正の声朧 | 千年 |
| 3 | 仮縫ひのまち針肌に春寒し | 由美 |
| 2 | 答辞読む晴れやかな声春動く | ふみ子 |
| 2 | 墨堤のベンチに一人桜餅 | つくし |
| 2 | 春風を少し背負つて新卒生 | 美知子 |
| 2 | 水門の前が定位置残る鴨 | 真美 |
| 2 | ペン立てに埋もるる春の闇深し | 正子 |
| 2 | テラスの鉢斜陽を分け合って春隣り | 静枝 |
| 2 | 火の粉や種蒔く神の涅槃西風 | 蕾花 |
| 2 | 福寿草陽のぬくもりを独り占め | こま女 |
| 2 | ふんはりとミモザの色の月いでし | うらら |
| 2 | 春風に背中を押され一歩前 | うらら |
| 2 | 灰色の炭鉱街に蘖や | 窓花 |
| 2 | 洗へども遺る姉の香春セーター | つゆ草 |
| 1 | 花の山少し迷つて二万歩に | 千年 |
| 1 | 土佐も春みんな揃つて句会かな | 瑛子 |
| 1 | 陽炎へるゆつくり押さん車椅子 | 喜美子 |
| 1 | 花冷えや予備校廊下に君を待つ | 玄了 |
| 1 | 十人目光さしたる春甲子園 | 玄了 |
| 1 | 背すぢいま伸ばしてゆかむつくつくし | 正子 |
| 1 | 夕暮を使ひ切つたり卒業児 | 正子 |
| 1 | ピカチュウの揺れるリュックや暖かし | 真美 |
| 1 | 辛夷咲く君といつもの散歩道 | 喜美子 |
| 1 | 雨戸あくピンク一輪椿ゆれ | 瑛子 |
| 1 | 菓子司や女主人の春の笑み | 貴美 |
| 1 | 雲一つなき青空や花辛夷 | ひぐらし |
| 1 | 外つ国の柳絮偲べば戦さあり | 月子 |
| 1 | 別れの日黒板アートに春の風 | 京子 |
| 1 | あたたかや犬もまどろむテラス席 | 馨子 |
| 1 | 若き母微笑む写真彼岸より | 草栞 |
☆ 参加者 ☆ <順不同・敬称略>
谷地海紅、青栁つくし、市川千年、荻原貴美、尾﨑喜美子、尾見谷静枝、椎名美知子、田中正子、丁子蕾花、内藤玄了、中村こま女、根本梨花、平塚ふみ子、谷地元瑛子、梶原真美(以上15名)
☆ 欠席投句者 ☆ <順不同・敬称略>
礒部和子、植田ひぐらし、宇田川うらら、大江月子、佐藤馨子、鈴木草栞、丹野宏美、西野由美、眞杉窓花、三木つゆ草、森田京子(以上11名)
<以上取りまとめ、真美記>
< 了 >