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論文を読む会のまとめ

・発表テーマ 芭蕉の俳文『紙衾の記』を読む
・発表者    安居正浩
・日時      平成26年9月6日(土)、14時30分〜17時
・場所      東洋大学白山校舎6号館 谷地快一研究室
・資料      芭蕉の俳文『紙衾の記』を読む
・出席者    谷地先生、堀口希望、小出富子、鈴木松江、米田かずみ、
          水野ムーミン、根本文子、荒井奈津美、安居正浩(9名)
・議事録    安居正浩

<発表のまとめ>

1.発表内容
  『おくのほそ道』の旅を終えた芭蕉は大垣の門人如行の家に旅装を解く。その時に旅の疲れをいやすため如行の弟子の竹戸という男が按摩をした。その按摩のお礼に芭蕉が竹戸に与えたのが、旅で使った紙衾(紙製の夜具)とそれに添えた『紙衾の記』という文章である。今回はこの『紙衾の記』を読みその背景を考えてみた。

2.発表のポイント

 @『紙衾の記』を読み内容の理解
 A何故芭蕉は竹戸に「紙衾」と『紙衾の記』を与えたのか
 B芭蕉の門人たちはAについてどういう反応をしたのか


3.まとめ

 芭蕉の『紙衾の記』は、前半と後半の転換・文章のリズム感・和漢の古典・古歌の取り込みなど格調あるよく練られた文章である。これだけの文章を何故孫弟子とも言える竹戸に与えたのか。その理由と考えられるものをいくつか上げてみて、最終的には竹戸という人物が芭蕉の目指す侘びがわかり、貧の情を持つ者だからという結論に一応落ち着いた。
また『紙衾の記』に対し芭蕉の弟子である如行・路通・越人・曽良・恕水などが文章を残している。どういう意図で書かれたものかを検討。それぞれ多少ニュアンスは違うが、自分に「紙衾」と『紙衾の記』が与えられなかった悔しさと、舞い上がっている竹戸へのからかいの入った、半分本音、半分遊び心から生まれた文章であると推測した。<了>