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ゆきあひし人もポストへ十三夜
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写真提供:箱崎秀夫(フリーカメラマン)

■200610_01
海紅 2006/10/10-01:58 No.[206]----------------------------------------

ゆきあひし人もポストへ十三夜


堀口希望 2006/10/10-12:26 No.[209]----------------------------------------

十三夜(ちなみに今年は11月3日)ともなると、月は青白く冴え、夜気は肌寒いくらい。何となく人恋しい気持になる。白楽天の「三五夜中新月ノ色/二千里外故人ノ心」は中秋十五夜であるが、私には十三夜の気分に適う。親しい人に手紙を書きたい気持にもなろう。月光を浴びつつポストに向かう。近所の人にゆきあい、話をしながら行ったが、その人の向かう先もやはりポストだった。人恋しさは遠く離れた友への気持であると共に、偶々ゆきあった人への気持でもある。十三夜の気分がよく出ており、俳句としても十分に推敲されており、朗誦したい句である。


千葉ちちろ 2006/10/11-07:36 No.[211]----------------------------------------

「さやけき月に風の音添ひて、虫の音たえだえに物がなしき・・・」樋口一葉の『十三夜』の一節だが、まさしく堀口さんのおっしゃるように十三夜の月は冴え冴えととして物悲しく人恋しい気持ちになります。そんなときにポストに向かう途中で顔見知りの人と出会って同じポストに手紙を投函する。話をせずとも二人の想いは同じなのである。ホッとする句ですね。


千葉ちちろ 2006/10/11-11:23 No.[212]----------------------------------------

「月がとっても青いから〜遠回りして帰ろう」「月の雫に濡れながら・・・」「月もあんなにうるむから・・・」なんて菅原都々子の歌を口ずさみたくなりました。


濱田惟代 2006/10/12-19:17 No.[214]----------------------------------------

手紙をポストに入れる二人を月が眺めていて、二人は十三夜の月を見ているという風景でほのぼのとした気持ちになります。電話やメールのスピード時代ですがポストに入れるほうが時間の推移に楽しみがあり風情があると思います。月に出す手紙のような錯覚に陥ります。


椎名美知子 2006/10/16-18:18 No.[223]----------------------------------------

「ゆきあひし人」は顔見知りのひとではないのでは。でもご無沙汰している人に便りを出す。何となく人恋しさを感じる季節、手紙を書きポストに向かう。語らずとも通じ合うものを感じます。見上げると十三夜の月。であった人は若者ではありませんね。私もこんな場面に出会って、なんとなく親しみを覚えたことを思い出しました。手書きの手紙の持つ意味合い、十三夜の月の風情をわかる人なんですね。それにしてもこの季節に誰に宛てた手紙か、きになりますね。手紙を書いているときは間違いなく相手と向き合っていることですものね。あっ、思わず話が拡がってしまいました。つい、句の持つ情感に引きこまれました。


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