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風鈴に寝入りたる子の爪を切る
※写真はクリックすると拡大します。
写真提供:箱崎秀夫(フリーカメラマン)

■200607_02
海紅 2006/07/17-00:54 No.[66]----------------------------------------

風鈴に寝入りたる子の爪を切る


福次郎 2006/07/17-01:21 No.[67]----------------------------------------

早速コメントです。
寝た子を起こさないようにそーっと爪を切るお母さんの映像と、風鈴の華奢な音とがうまく響きあっているなぁと感じます。
助詞「に」とあるので、風鈴の涼しげな音を聴きながら寝入ってしまったのでしょうか。やさしさのある句ですね。


千葉ちちろ 2006/07/17-08:06 No.[68]----------------------------------------

初めてのコメントです。なんと言ったらいいのか、遠い昔(戦後)の自分と重なって、すごく懐かしい感じのする句です。子どもの頃、川遊びをして疲れて家に戻り、日陰の縁側で風鈴の音を聴きながら風に吹かれて気持ちよくウトウトしている自分の姿が目に浮かびます。福次郎さんもコメントしていますが、「風鈴に」ということばの感じがいいですね。


久保寺勇造 2006/07/17-13:04 No.[69]----------------------------------------

自分の爪をひとりで切れたのは何時頃だったろうか覚えていない。もちろん小学校に入ってからだがそれまでは両親を煩わしていたと思うと気が遠くなる。風鈴の鳴る昼下がり「寝入りたる」子はぐっすりと眠っている。親は朝からこの子の爪を切らなくてはと思っていた。全神経を子の指先に集中する子と親の呼吸は一緒になる。
そして子は時にして身体をピックと動かす、大丈夫かと指先を撫ぜてやるそんな光景が目に浮かぶ。あっさりと詠んでいるが情愛の深さがつたわる句である。


三木喜美 2006/07/18-15:15 No.[70]----------------------------------------

多分風鈴は、昔ながらの金魚の絵のある丸い風鈴で、爪を切られているのは小さい頃の先生で、そこ座っているのはお母様、という想像を勝手に描きとても郷愁を感じる句だと思いました。私は先生が作られる句の中で、このような繊細で切ないまでの優しさに溢れた作品がとても好きです。


久保寺勇造 2006/07/20-20:13 No.[71]----------------------------------------

この句には静と動が織り成されています。ぐっすりと寝ている子と心地よい音色を奏でる風鈴の舌(ぜつ)の動きは非常に対照的です。そして慈愛を込めて子の爪を切る
父親の微かな動き三様の情景があります。
さて、作者は読者がここ迄の解釈ならばもう少し前進をと、おっしゃるでしょう。そうです、その傍にはアイロンを掛けながら時どきこちらに目を配る母親の動きもあるからでしょう。



千葉ちちろ 2006/07/22-06:01 No.[72]----------------------------------------

今朝、5時15分からNHKで風鈴の話がありました。
南部風鈴、小田原風鈴、明珍火箸風鈴、江戸川のガラス風鈴などが紹介されましたが、この句での風鈴はどれが似合うでしょうか?一番庶民的なガラス風鈴でしょうか?目に涼しく耳にも涼しい感じがしますよね。ところで最近は風鈴売りは見かけなくなりました。心地よい音がゆらいでいる中でもう一眠りしましょうか!


久保寺勇造 2006/07/26-20:55 No.[73]----------------------------------------

世の中で幸せですか?といきなり尋ねられますと訝しげの顔をどなたもなさいますよね。質問者が少し知り合いでしたら曖昧に頷きますか、う〜ん・まあまあですか。
本題に移りまして、この句の主人公「子の爪を切る人」は山上憶良と同じだけ子煩悩なんです。夏の昼間に小さな子を寝かせるのは大変なことです。幸せの人にだけ出来る特権です。私もこの句に会えて思い出を辿ることが出来ました。さああなた様もどうぞ。


濱田惟代 2006/07/26-21:29 No.[74]----------------------------------------

この句からほのぼのとした親子の情景が感じられます。幼い子供は起きている時はいつも動き回っていて少しもじっしていることはありません。押さえつけて爪を切ろうとすると動くので危なくて切ることも出来ません。すやすやと寝入るのを待ってそっと爪を切るお父さんのやさしさ。お母さんなら当たり前かもしれません、ここはどうしても先生でしょう。美しい日本の夏の絵のような情景です。今、お父さんたちに子供のつめを切る心の余裕が無い時代かもしれません。多くのお父さんがこうあってほしいと思います。


久保寺勇造 2006/07/29-08:04 No.[75]----------------------------------------

風鈴の音を聴くと脳内でアルファー波が出てリラックス状態になります。このアルファー波は海や森、各駅停車の列車の中に生じます。そして「揺らぎ」という状態が共通してあります。「揺らぎ」は心地よさの源です。
外から泥んこになって帰ってきた子は父親と風呂に入ってサッパリしました。お揃いの寝巻きなんかいいですね。風鈴の音、あっ今、蝉の声がします。今年は遅かったですね。すぐれた十七文字の中にはいっぱい物語が詰まっています。
超サイエンス(日テレ)参考としました


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