俳文学研究会会報 No.38   ホーム
日時 平成18年4月8日(土) 午後2時締切 四句
吟行 小石川植物園
席題 落花・花韮・鳥交る
場所 甫水会館
谷地海紅選
花韮を嗅ぐらし猫の立ち止り 大江ひさこ
東京は桜の多い街なりし 大江ひさこ
下を見て歩くこの頃韮の花 後藤由貴子
鳥交る心やさしき日となさん 菴谷早苗
花韮や言葉で人を傷つけし 安居正浩
花にらの寄り添ふ如き白さかな 三木喜美
気紛れな雨が花にら指し示す 根本文子
菜の花と桜がとつてもきれいな日 織田嘉子
落花終へ追はるるごとく雨となる 奥山美規夫
静かなる人と話せり韮の花 伊藤無迅

梅田ひろし選
風立ちて池の落花のかたまりぬ 金井  巧
鳥交る頬染めし頃いつの日か 久保寺勇造
花にらの一輪風に振り向きぬ 金井  巧
鳥交る都心に高く声響く 尾崎喜美子
訪へば泣き出す老母花の昼 浜田 惟代
二人連れ肩に静かな落花かな 高木 久子
久闊を叙せば花韮そこここに 谷地 海紅
寺町の雨にけぶりて落花かな 菴谷 早苗
鳥交る平和ぼけしてゐたるかな 安居 正浩
花ぐもりすでに嵐の予感あり 尾崎喜美子

伊藤無迅選
はにかみし墓買ひ告げし花の下 久保寺勇造
桜花いさぎよき罪なくはなし 安居正浩
廃校と噂の庭に鳥交る 金井巧
訪へば泣き出す老母花の昼 浜田惟代
花にらや逢へざる人とあへさうな 菴谷早苗
校閲のゲラをしまひて落花浴ぶ 谷地海紅
メタセコイヤの天辺鳥のつるみけり 梅田ひろし
学友は句友となりて花蘇芳 根本 文子
コンビニの弁当いろいろ鳥交る 後藤由貴子

参加者:
谷地海紅 奥山酔朴 尾崎喜美子 小出富子 小野修司 根本文子 浜田惟代 森つらら 水野千寿子 伊藤無迅 高木久子 西村通子 青柳光江 織田嘉子 三木喜美 久保寺勇造 椎名美知子 大江ひさこ 梅田ひろし 菴谷早苗 平岡佳子 三島菊枝 安居正浩
欠席投句:後藤由貴子 岡田光生

番外句会の記
一次句会終了後、希望者を募って庄屋で一献。海紅句「春雪に明るくなりしベンチかな」は「春雷」の清記誤りであることが披露された。座談弾むままに小石川植物園で遭遇した「春雷」を席題とする番外句会となり、各自箸袋を短冊として一句投句。酒席ゆえの昂揚が以下のごとき佳句を生み出した。
春雷やのれんくぐれば夢二の絵 金井巧
春雷のあかりに浮かぶ神の山 伊藤無迅
春雷に頬杖を解く女かな 谷地海紅
春雷を聞きつつメトロへもぐりけり 大江ひさこ
春雷や妻の仕草にほれ直す 奥山酔朴
春雷やけりをつけたき縁のあり 椎名美知子
春雷の音と光を数へをり 尾崎喜美子
春雷やすがる人なく悲しけり 小出富子
祈ることあり春雷の強ければ 森つらら
振り返る横顔細し春雷す 久保寺勇造
真先に師の逃げ出せる春の雷 根本文子
春雷や相合傘も逃げ惑ふ 高木久子
春雷のそれはそれとし酒飲みに 安居正浩

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