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| 兼題解説 卯の花・夏場所 |
| 卯の花(うのはな) |
| 〔本意・形状〕 |
空木(うつぎ)の花のこと。空木は野山に自生する落葉の灌木で、垣根や庭園にも植える。幹・枝が中空なので「空木」と言われるという。初夏(卯月)、枝先に白色5弁の雅趣豊かで香りもよい花を開く。 |
| 〔季題の歴史〕 |
古くから日本人に愛され、万葉集にも時鳥とセットとなって盛んに詠まれている。 |
| 〔類題・傍題〕 |
空木の花・花空木・初卯の花・卯の花月夜・卯の花垣 ・姫うつぎ・錦うつぎ
(ハコネウツギは別種である。) |
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・卯の花をかざしに関の晴着かな 曾良 |
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・うの花や貴布禰の神女の練の袖 蕪村 |
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零れ咲く高野の谷の花空木 中村芳子 |
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・卯の花の歌口ずさみ山くだる 佐藤美代 |
(堀口希望) |
| 夏場所(なつばしょ) |
| 〔本意・形状〕 |
本場所は現在六場所制だが、初場所(春場所)と夏場所(五月場所)が歴史が古く、東京で行われる人気場所である。五月十日頃から十五日間、国技館で行われる。 |
| 〔季題の歴史〕 |
江戸時代には五月の興業は少なかった。明治十年五月に興業してから、この場所も恒例になったようで、春場所とならんで人気をよんだ。
最初は本所の回向院で、のちに国技館で行われた。この本場所二場所制は長く続いたが、戦後三場所制になり、さらに四場所となり、現在の六場所制となった。明治三九年、岡野知十の句に「子規雨の櫓の五月場所」(『新俳句類選)がある。 |
| 〔類題・傍題〕 |
五月場所 |
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・煌々と夏場所終りまた老ゆる 秋元不死男
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・夏場所や汐風うまき隅田川 牧野寥々
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・夏場所のはねの太鼓に端居かな 富安風生
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・夏場所や勝ちて乱れず大いてふ 鷹羽狩行 |
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・はたと止む団扇の波や五月場所 武原はん |
(根本文子) |
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