| 【七五三】髪置・髪上・髪削、袴着・帯解(紐直)の際の氏神詣で。近世後期より。 |
| ○水あれば水と戯ぶれ七五三 |
安居 正浩 |
愛らしき一景。 |
| ○袴着やVサインして宮参り |
礒部 和子 |
今様にて新鮮。 |
| 頑なに草履を拒む七五三 |
水野千寿子 |
愛らしき一景。 |
| 腰に剣三つの襟章千歳飴 |
谷 美雪 |
愛らしき一景。 |
| 七五三胸張つてくる背広の子 |
梅田ひろし |
愛らしき一景。 |
| 七五三うなじの形もママに似て |
米田かずみ |
愛らしき一景。 |
| 指折りて七五三待つ小さき胸 |
つゆ草 |
「小さき胸」弱し。 |
| 千歳飴やうやく五つになりにけり |
吉田いろは |
述懐弱し。 |
| 七五三脱ぐ間もなく飴横かじり |
西野 由美 |
「終へて」の一語が必要。 |
| 七五三テディと共に祝詞受く |
中村美智子 |
「テディ」難解。 |
| 黄金に輝く銀杏七五三 |
天野喜代子 |
季重なりで弱し。 |
| 脱ぎ捨ててもう飛び出せる七五三 |
松村 實 |
「終へて」の一語が必要。 |
| 父母の輪のなかにゐる七五三 |
千年 |
素直なり。 |
| 雨やみて子も孫も無し七五三 |
ちちろ |
初五中七難解。 |
| 姫様を笑顔が囲む七五三 |
堀 眞智子 |
素描に終わる。 |
| 七五三晴れ着も知らず育ちけり |
根本 文子 |
晴着の句になった。 |
| 七五三姉をいたはり橋渡る |
中村 緑 |
一記憶に終わる。 |
| 水兵の服着せられし七五三 |
ひぐらし |
一記憶に終わる。 |
| 夫婦坂上れば神社七五三 |
鷲田 裕克 |
夫婦の句になった。 |
| 禰宜さんも同じ字なり七五三 |
堀口 希望 |
素描に終わる。 |
| 神妙に神様探す七五三 |
天野 さら |
素描に終わる。 |
| 写真館先づは済ませて七五三 |
清水さち子 |
素描に終わる。 |
| 足袋草履金髪の子の七五三 |
五十嵐信代 |
素描に終わる。 |
| 髪飾り参道に揺れ七五三 |
小出 富子 |
素描に終わる。 |
| 千歳飴持つ子抱き上げ階へ |
大江 月子 |
素描に終わる。 |
| 七五三花嫁しんと分け入れり |
柴田 憲 |
素描に終わる。 |
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| 【目貼】冬構のひとつで、窓や戸の隙間を塞いで風雪をしのぐ用意。 |
| ◎目貼して太宰治を買ひに行く |
吉田いろは |
意表を突く転じ。 |
| ○野ざらしの句を目貼せし借家去る |
千年 |
「出る」と穏やかにするがよいか。 |
| ○厚目貼老いたる母の愚痴多し |
礒部 和子 |
「母は」。 |
| 目貼して家中のもの生き生きす |
安居 正浩 |
大仰なり。 |
| 目貼して父の目やさし夢の中 |
中村 緑 |
一記憶に終わる。 |
| 目貼りせし世は移ろへど有るがまま |
柴田 憲 |
述懐重し。 |
| 目貼して出入りの多き馴染顔 |
清水さち子 |
中七下五難解。 |
| 目貼して喉元のグチ封じ込め |
水野千寿子 |
「喉元のグチ」難解。 |
| 無人家の目貼りのテープしがみつき |
中村美智子 |
「しがみつき」難解。 |
| 透明な目貼りに替へて北の空 |
根本 文子 |
「北の空」難解。 |
| 北窓の目貼なつかし新所帯 |
小出 富子 |
「新所帯」再考。 |
| 目張りして風聞く朝の白さかな |
大江 月子 |
「白さかな」再考。 |
| 反古紙ですつきり目貼祖父の腕 |
谷 美雪 |
「すつきり」不要。 |
| 目貼する築七十年の板の壁 |
つゆ草 |
素描に終わる。 |
| 目貼して納屋は春まで開かずの間 |
堀口 希望 |
素描に終わる。 |
| 目貼りせる部屋に斜めのひざし射る |
五十嵐信代 |
素描に終わる。 |
| 目貼してイーハト―ブのものがたり |
ひぐらし |
素描に終わる。 |
| 目貼して大仕事のごと良しと言ふ |
堀 眞智子 |
素描に終わる。 |
| 目貼りしていよいよ荒き風の音 |
梅田ひろし |
素描に終わる。 |
| 新建築目貼の隙間見当らず |
天野喜代子 |
新築の句になった。 |
| 目貼して心構への自ら |
天野 さら |
観念が先行した。 |
| 春までは空の広さも目貼かな |
ちちろ |
観念が先行した。 |
| 目貼りするほどのことなき友ありて |
鷲田 裕克 |
観念が先行した。 |
| たましひの目貼り破れてハムレット |
松村 實 |
痛々しき譬喩。 |
| 目貼する何はなくとも朗らかに |
西野 由美 |
目貼の本意復習。 |
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| 【石蕗の花】キク科常緑多年草。黄の頭状花。名は葉が蕗に似るゆえ。 |
| ◎日時計の影は三時へ石蕗の花 |
千年 |
石蕗の花に三時はよく似合う。 |
| ◎就職の悩み聞きをり石蕗の花 |
根本 文子 |
石蕗の花は何にもよく似合う。 |
| ◎亡き母の誕生日ぞよ石蕗の花 |
水野千寿子 |
石蕗の花はまことによく似合う。 |
| ◎生真面目を終生とほす石蕗の花 |
安居 正浩 |
石蕗の花はここでもよく似合う。 |
| ◎石蕗の花お堂に絵馬を結びけり |
堀 眞智子 |
石蕗の花はまたまたよく似合う。 |
| ◎紅顔の剣士ら出で来石蕗の花 |
松村 實 |
石蕗の花はなぜかよく似合う。 |
| ◎古希といふ歳たまはりて石蕗の花 |
清水さち子 |
石蕗の花はふしぎによく似合う。 |
| ◎薬飲み己はげます石蕗の花 |
ちちろ |
石蕗の花はまことによく似合う。 |
| ◎はきはきとした子に育ち石蕗の花 |
吉田いろは |
石蕗の花はここでもよく似合う。 |
| ◎尼寺の光あつめて石蕗の花 |
梅田ひろし |
石蕗の花はまたまたよく似合う。 |
| ◎父のこす家族の写真石蕗の花 |
西野 由美 |
石蕗の花はなぜかよく似合う。 |
| ◎暁闇の道を照らすよ石蕗の花 |
中村美智子 |
石蕗の花はふしぎによく似合う。 |
| ◎一面に石蕗の花咲く曽良の墓 |
天野喜代子 |
石蕗の花はまことによく似合う。 |
| ○石蕗の花咲いて路地裏明るうす |
天野 さら |
石蕗の花はここでもよく似合う。 |
| ○灯の下盛り塩と石蕗の花 |
ひぐらし |
石蕗の花はまたまたよく似合う。 |
| ○退院の華やぐ声と石蕗の花と |
谷 美雪 |
石蕗の花はなぜかよく似合う。 |
| ○翳りても安房は明るし石蕗の花 |
堀口 希望 |
石蕗の花はふしぎによく似合う。 |
| ○背伸びして陽を浴びたがる石蕗の花 |
米田かずみ |
石蕗の花はまことによく似合う。 |
| ○石仏に花蓋拡げる石蕗の茎 |
五十嵐信代 |
「花がさひろげ」。 |
| 母炙る手元あやふし石蕗の花 |
小出 富子 |
母の作業姿見えず。 |
| 背の高き石蕗人に囲まれて |
つゆ草 |
なにゆえ囲まれているや。 |
| 石蕗見れば客帰る頃黄の立ちぬ |
大江 月子 |
見ているのは誰。 |
| 遠目には一叢なりや石蕗の花 |
柴田 憲 |
素描に終わる。 |
| 大隈の海波高し石蕗の花 |
鷲田 裕克 |
「大隈」は「大隅」か。難読。 |
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| 海紅切絵図 |
| 座布団に袴着の子の小ささよ |
海 紅 |
| 目貼して甲斐なき親の家恋し |
同 |
| 柳井綾子といふ大慈石蕗の花 |
同 |
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