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| 兼題解説 夕顔・蚊遣火 |
| 夕顔（ゆふがお） |
| 〔本意・形状〕 |
ウリ科の一種で蔓性一年草。夏の夕方から夜にかけて、白く咲く花は夢幻的な雰囲気があり、朝にはしぼむ。葉の付け根に巻きひげがあり、蔓を伸ばして垣根や古くは夕顔棚にからみついたりしていた。実からはかんぴょうをつくり、又加工して花器や工芸品が作られる。
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| 〔季題の歴史〕 |
古くから和歌に詠まれている。「白露の情置きける言の葉やほのぼの見えし夕顔の花」（『新古今集』巻三・夏）、「木の間もる垣根にうすき三日月のかげあらはるる夕顔の花 定家」（『夫木和歌抄』夏）。「夕顔や秋はいろいろの瓢かな」芭蕉。『源氏物語』、『枕草子』にも登場する。
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| 〔類題・傍題〕 |
夕顔の花、夕顔棚。 |
| 〔例句〕 |
・夕顔に干瓢むいて遊びけり 芭蕉 |
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・夕顔やそこら暮るるに白き花 太祇 |
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・淋しくもまた夕顔のさかりかな 漱石 |
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・夕顔に微風美音の寄するなり 野沢節子 |
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・夕顔の花咲き女いそがしく 山口青邨 |
（堀口希望) |
| 蚊遣火（かやりび） |
| 〔本意・形状〕 |
蚊をを追い払うためにいぶす火のこと。蚊を追うのに効果的なものは、楠（くす）や榧（かや）の木片（蚊遣木）、杉の青葉、柑橘類の皮、おがくず、などがある。蚊遣草としてよもぎが焚かれたが除虫菊が知られるようになり、蚊取線香が出来た。
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| 〔季題の歴史〕 |
『夫木和歌抄』夏に「蚊遣火の煙の末もほのかにて霞に残る夏の夜の月」。 |
| 〔類題・傍題〕 |
蚊遣、蚊遣草、蚊遣木、蚊遣粉、、蚊取線香、蚊除香水。 |
| 〔例句〕 |
・しらじらと白髪も見えて蚊やりかな 一茶
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・病む人の蚊遣見てゐる蚊帳の中 虚子
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・ひとすぢの秋風なりし蚊遣香 渡辺水巴
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・兄弟に蚊香は一夜渦巻けり 石田波郷
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・母恋えば母の風吹く蚊遣香 角川春樹
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（根本文子) |
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