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兼題解説 餅花・福寿草

餅花(もちばな)
〔本意・形状〕 小正月の飾り物の一つで、1月14日に飾ることが多い。柳や水木などの小枝に紅白の小さい餅や団子などを刺して飾り、神棚近くの柱などに飾り付ける。餅や団子の重さで枝が垂れ下がるのを豊作の稲穂に見立てたのだろうと言われている。近年は大判・小判・宝船などを賑やかに付けたものも売られている。
〔類題・傍題〕 繭玉・餅手毬・餅穂
  ・餅花や灯たてて壁の影     其角
  ・餅花の高々とある炬燵かな   高浜虚子
  ・餅花や蔵町の天はればれと   高橋あさの
堀口希望)

福寿草(ふくじゅさう ふくじゅそう)
〔本意・形状〕 キンポウゲ科の宿根草で、元来は野生であるが江戸時代頃から栽培され、その縁起の良い名前から新年を祝う花として盆栽などで観賞される。
野生や庭植えでは立春の頃ニンジンの葉に似た細い葉を出し、やがて丸みのある鞘の先に黄色い菊のような花が開く。群生して春に先駆け一面の黄色になると、寒さを忘れてあたたかな気分になる。
〔季題の歴史〕 『毛吹草』(正保二)『増山の井』(寛文三)以下に所出。『改正月令博物筌(文化五)には正月・兼三春に重出。『鼻紙袋』(延宝五)『糸屑』(元禄七)以下に「福寿草」、『増山の井』に福寿(ふくす)ぐさ』『番匠童はなひ大全』(元禄四)に「福寿草(ふくずぐさ)」『をだまき綱目』(元禄十)に「福寿草(ふくすさう)」と傍訓する。『毛吹草』『増玉の井』以下に異称「元日草」を併設。○『増山の井』に「元日草ともいへり。元日に花咲くとなり」。(中略)
○『和漢三才図会』に「歳旦に初めて黄花を開く。半開の菊花に似たり。 人もって珍となし、盆に植ゑて元日草と称す。
〔類題・傍題〕 元日草(ぐわんじつさう がんじつそう) 報春花
  ・暖炉たく部屋暖かに福寿草    正岡子規
  ・福寿草遺産といふは蔵書のみ  高浜虚子
  ・日記まだ何も記さず福寿草    遠藤梧逸
  ・福寿草家族のごとくかたまれり  福田蓼汀
  ・地面から宙がはじまる福寿草   宮坂静生
(根本文子)