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兼題解説 初鏡・寒雀

初鏡(はつかがみ)
〔本意・形状〕 新年に初めて鏡に向かい,化粧することを初鏡、初化粧という。
また、単にその鏡そのものを初鏡ともいう。
  ○調べてみると、この季題、「初鏡」を掲載していない歳時記も幾つかあり、近年、句に詠むことも少なくなったが、兼題に出たことを良いチャンスとして、お互いにチャレンジしたいものである。
〔季題の歴史〕 『図説俳句大歳時記』(昭和42年・角川書店)にも詳しい解説がなく、詳細は不明であるが、下記例句に鬼貫(江戸中期の俳人)の句が確認されている。
〔類題〕 初化粧
  ・梅や紅人のけはひの初鏡       鬼貫
  ・人のうしろに襟合せたり初鏡     中村汀女
  ・島蔭に吊して海女の初鏡       小林俊彦
  ・初鏡髪梳けばとて脈荒るゝ      石橋秀野
  ・眉引も四十路となりし初鏡      杉田久女
(根本文子)

 

寒雀(かんすずめ)
〔本意・形状〕 厳寒の時期の雀。冬の寒さに耐えるため、秋にたくさん食べたので、丸々と太っている。油が乗り食べても美味なので食鳥としての意味もあるが、俳句では主にその愛らしい 姿が詠まれる。
〔類題〕 冬雀。ふくら雀。
(ふくら雀は肥えふくれた雀の子、または寒気のため全身の羽毛をふくらませた雀をいう。紋所・模様・婦人の髪型・帯の結び方などにこの名があり、古くから用いられてきた。)
  ・脇へ行くな鬼が見るぞよ寒雀     一茶
  ・寒雀汝も砂町に煤けしや       石田波郷
  ・古里の日向の匂ひ寒雀        前田千鶴子
  ・倒・裂・破・崩・礫の街寒雀      友岡子郷
  ・土の色は安心の色冬雀        大橋俊彦
(堀口希望)