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兼題解説 七五三・目貼・石蕗の花

七五三(しちごさん)
〔本意・形状〕

11月15日に行われる数え年3歳・5歳の男児、3歳・7歳の女児が着飾って氏神に詣でるお祝いの行事。

〔場所〕 全国的行事である。
〔季題の歴史〕 昔から行われていた「髪置(かみおき)」((3歳の男児・女児)・「袴着(はかまぎ)」(5歳の男児)・「帯解(おびとき)」(7歳の女児)などの諸行事が、明治以後まとめて「七五三」と言われるようになり、年々華美になってきたもののようである。
〔別名〕 七五三祝い(しめいわい)・千歳飴
  ・人生の磴のぼり初め七五三        鈴木南子
  ・午(ひる)からの草いろの潮七五三    友岡子郷
  ・七五三道を濡らさぬほどの雨       雨宮きぬよ
  ・若様のしもべとなりて七五三        大橋松江
  ・母の着し晴着子が着て七五三       板橋喜美
(堀口希望)

 

目貼(めばり)
〔本意・形状〕

窓や戸の隙間を紙などで貼り、風や雪が吹きこまないようにして寒さを防ぐこと。寒冷地の冬支度の一つ。最近の住宅ではほとんど必要がなくなった。(初冬)

〔場所〕 家庭
〔季題の歴史〕 『季寄新題集』(嘉永元年)に十月として「窓塞ぐ・窓貼る」と併出し、「北窓を閉づる心得にして、冬構なり」とある。
〔別名〕 隙間貼る
〔分類〕 生活
  ・目貼しておのがこころも塞ぎけり      根岸善雄
  ・厚目貼して故郷に在るごとし        鈴木良戈
  ・目貼して繭のごとくに老ひし母       木内彰志
  ・目貼して九如来の堂守りけり        由井艶子
  ・そして最後は犬小屋に目貼せり      川嶋一美
(安居正浩)

石蕗の花(つわのはな)
〔本意・形状〕 キク科の常緑多年草、暖地の海岸などに多く自生する。葉がフキの葉に似ていて艶があるので、艶蕗という説もあるがフキとは関係がない。十月から十二月にかけてしっかりした花軸を立て、菊に似た黄色の美しい花を開く。おもに鑑賞用として庭に植えられるが、九州地方では春先のやわらかい葉を食用にする。
〔季題の歴史〕 『毛吹草』(正保二)『増山の井』(寛文三)以下に十月として所出。
『滑稽雑談』(正徳三)に「大和本草に曰、橐吾(つわ)、茎葉款冬(かんとう)に似たり。款冬よりも葉厚し。秋、黄花を開く。冬はその実房をなして一茎に数顆あり。その茎を食するに、味款冬のごとし。一切の毒を消す。
* 款冬(かんとう)はフキの別名
〔別名〕 石蕗(つわぶき)、いしぶき、橐吾の花(つわのはな)、石蕗の花(つわぶきのはな)。
  ・地軸より咲きし色なり石蕗の花         原石鼎
  ・つはぶきの花の日々新たなり         高野素十
  ・石蕗咲くや心魅かるる人とゐて         清崎敏郎
  ・つはぶきはだんまりの花嫌ひな花       三橋鷹女
  ・石といふ石に石蕗咲き長命寺         古館曹人
  ・靜かなるものに午後の黄石蕗の花      中戸川朝人
(根本文子)