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兼題解説

薯莪
〔本意・形状〕 草丈五十センチほど。葉は剣状。花は白紫色で周囲がフリル状。花心に黄色の斑点。実を結ばず(天明『年浪草』)。
〔場所〕 山野の樹下。湿地。
〔季題の歴史〕 寛永以後(『花火草』)。
〔別名〕 烏扇(正徳『和漢三才図会』)。胡蝶花(宝暦『わくがせわ』)。藪菖蒲(天保『四季名寄』)。
〔分類〕 アヤメ科多年草。
  ・筍に括り添へたりしやがの花几          董
  ・あたらしき柄杓が置かれ薯莪の花   川崎 展宏
  ・裏戸より裏戸に通ふしやがの花     西沢 無花
(根本文子)

 

夜釣
〔本意・形状〕 涼みを目的に加えて、夜間に釣りをすること。
〔場所〕 川・沼・海など。
〔季題の歴史〕 近代以降。ただし、類題に夜振・川狩・夜焚などあり。
  ・夜釣舟片頬くらく漕ぎ出づる        大串 章
  ・月光の竿を走れる夜釣かな       石井彩風子
  ・釣りあげし夜釣のものの啼きにけり   川村 凡平
(堀口 希望)

 

草取
〔本意・形状〕 雑草を取り除くこと。
〔場所〕 田圃・畑・公園・庭・道路。
〔季題の歴史〕 寛永以後(『初学抄』)。
〔別名〕 田草取。草むしり。除草。田草引き(田圃の草取り)に始まる語。
  ・葉ざくらの下陰たどる田草取り          蕪村
  ・やや遅れ出てゆく母や田草取      高野 素十
  ・草取の大夕焼にそまり来る        遠藤 麗花
(安居 正浩)