わくわく題詠鳩の会会報82   ホーム
鳩ノ会会報82(平成29年11月末締切分)
兼題 神の留守・白鳥


◎AIのどこまで迫る神の留守    ムーミン
→同感。AIを人工知能と訳すのは正しいのだろうか。からくり人形というべきではなかろうか。ちなみに神も人間が創造したモンスターのひとつというと叱られるだろうか。

◎餌をやる人の少なき神の留守      真美
→これは神の留守がうまく活かされた。

◎骨董市神の留守とて日もすがら       憲
→これは、神の居らぬ間にという諧謔あり。

○絶え間なき瀧の音きく神の留守      貴美
→上五・中七と季題との関連を匂わせる表現力がほしい。

○内宮に祈りの灯り神の留守        和子
→皇大神宮(内宮) の灯りと季題との関連を匂わせる表現力がほしい。

○真剣に手あはせすぐる神の留守     山茶花
→十月の神社を拝して過ぎゆく人々なのだろうが、これも上五・中七の姿と季題との関連が弱い。

○神の留守遠く近くにシャッターの音  静枝
→このシャッターはさびれゆく商店街とみたが、カメラの音ともとれる。そこが描写の不十分なところ。

○秋津島行方定めぬ神の留守       喜美子
→時事(今の社会事象)を憂う句か。寓喩を読み取らねばならぬ句のように読めて、俳句としては落ち着かない。


○神の留守敗将の背の淋しさよ    むらさき
→神が敗者でなく勝者に微笑んだとすれば、神の留守とは言えない。

○神主になる子は出雲神の留守      千年
→出雲は神ばかりか、神主修行の子たちも含めて大混雑という意か。舞台が神が留守の社と神が大集合の出雲の二箇所に分裂して残念。

○木や草にも情けの溢る神の留守      松江
→上五・中七と季題との関連を匂わせる表現力がほしい。

◎つがひとや白鳥の声裏返り    ひぐらし
→「声裏返り」で白鳥の恋なのだろうと想像される。


◎白鳥の気位かくも荒々し         酢豚
→品位を「荒々し」と説くあたりに深みあり。

◎濠に浮く白鳥ひとつ辞表だす      由美
→表現は未熟だが、景情には優れたものがある。

○白鳥のチェロの「白鳥」なぞる湖      実篤
→分らなかった。自句自解を乞う。


○十字架の向こうは荒野オオハクチョウ  瑛子
→「十字架の向こうは荒野」はいい景色だね。下五で締まりが悪くなった。

○白鳥の生い立ち巡る旅心          美雪
→旅心は旅に出たいという気持ち。「生い立ち巡る」は実際の旅をしているようにもとれる。推敲不足というべきか。

○まだ来ぬと白鳥守の呟きぬ       ひろし
→報告に終わっている気がする。

○白鳥の声降りそそぐ故郷かな      梨花
→「声降りそそぐ」がありふれて聞こえ、「故郷」で甘く、締まりがなくなった。


 
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