わくわく題詠鳩の会会報80   ホーム
鳩ノ会会報80(平成29年7月末締切分)
兼題 夕立・サングラス


◎今日のことすべて消し去る白雨かな  啓子
→心当たりあり。まことに夕立らしい。

◎軍艦の形消えゆく驟雨かな      瑛子
→省略が利いてよき姿。「消しゆく」という意志を選択する道もあり。

◎夕立して俄かに忙し間宿        ひぐらし
→「間宿」はアイノシユク。宿場間に自然発生した休憩所(非公認)のことであろう。中山道の吹上(鴻巣市)・甲州街道の烏山(世田谷区)・水戸街道の亀有(葛飾区)・佐倉街道の船橋(船橋市)などがその例。歴史に取材した一枚の名所絵(浮世絵)のようだ。古風はこの作者の好み。

◎みんなして濡れて喜ぶ夕立かな      俊彦
→心当たりのある景色。素直で好感の持てる表現。

◎涼しさを招く夕立ハンモック      和子
→夕立でにわかに涼しい風が流れる経験は誰にもある。季重ねだが、これは「夕立」の句としてよいだろう。むろん部屋の中のハンモックだね。

○灯に映へしガラスを美しく夕立かな  むらさき
→夕立を室内から称える景。この作者は凝り性らしく「美しく」をハシクと読ませたい由だが、俳句には「叩く」などと即物的な言葉遣いがふさわしい。表現をスリムにして、言い過ぎない心掛けが読者をつかむ。

○下校道たたく夕立ひとりぼち     山茶花
→「夕立」はユダチと約めることができるから、助詞を省略せず「夕立を」としたい。「ひとりぼち」は感傷的。

○夕立や油絵の筆ゆすぐ時          真美
→骨格は古風で安心して読めるが、なぜ夕立なのかが伝わらない。


○夕立や館内にティラノサウルス      由美
→「夕立」と「ティラノサウルス」との関係、つまり取り成した意図が見えない。

○褄あげてかけぬけてゆく白雨かな      貴美
→「ツマあげて」は好もしく艶やかだが上品すぎるか。「裾からげゆく」ぐらいが気風があっておもしろい。「幾人かしぐれかけぬく勢田の橋」(丈草・猿蓑・冬)という名句を思い出した。

◎ゆうるりとこの世ながめしサングラス   憲
→長い間世話になったサングラスを、こんなふうに、分身のごとくながめる年齢になった。わかる気がする。

◎大人への夢ありし日のサングラス      酢豚
→心当たりあり。帽子も、煙草も酒もそうであった。


◎男言葉交はせる少女サングラス     ひろし
→心当たりのある景。「交して」という手もある。

◎誰のかな遺品の中のサングラス    ムーミン
→口語調で成功している。遺品とは記憶にあるものばかりではないのだ。「遺品の中に」としてもおもしろい。

○隣人か戸惑ふ会釈サングラス      静枝
→「隣人か」を捨て「会釈され戸惑ふ露地やサングラス」などと場所を添えてみてはどうか。


○サングラス兄貴ぶつてる背伸びして  美雪
→「兄貴ぶつてる」「背伸びして」は類似の姿ゆえ、どちらか捨てたい。

○夕立ちに手を合はせゐる農夫かな    喜美子
→「手を合はせゐる」理由は想像できるが、表現として、如何ともしがたいモドカシサがある。喜雨ともそうでないともとれるからだ。

○サングラスして川漁師帰岸せり      千年
→報告に終わっている。つまりサングラスがトピックになりきっていない。

 
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