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△悪い癖蛍袋に笑はるる 千年
【評】釣鐘・提灯・風鈴など蛍袋の連想範囲に「悪い癖」を結びつけ難し。
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△わらべ唄ゆめに聴く蛍袋かな むらさき
【評】「夢の中で童唄を聞いている蛍袋であることよ」と口語訳して、さて釈然としない。もっと省略、もっと私意を捨てるべきか。 |
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○おやすみのキスする母や蛍袋 由美
【評】字余りは残念だが、童話のような親子の暮らしが見える。蛍袋がどのように関わるか、それを読者に任せた点がこの作者の腕前。
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○ほたるぶくろ蛍こぼしてしまひさう 酢豚
【評】誰もが一度は感じる不安。でも飛ぶ能力のある蛍のことだから、体験すればその不安はなくなるのかもしれない。 |
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△鼓かなカツポン花を叩く音 和子
【評】「カツポン」は擬態語か、「カツポン花」なるものがあるのか。読者にこうした不安を与える表現は避けたい。俳句はごくシンプルな感情をシンプルな描写に。 |
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△蜜吸うやほたるぶくろに羽の影 貴美
【評】「蛍袋の中で蜜を吸う蛍の羽が映って、外側からも見える」という口語訳をして、さて釈然としない。感動の焦点を確認したい。
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△赤はなお赤い三尺金魚ゆれ 山茶花
【評】三十センチにも成長した金魚の色を称える句か。感動の焦点を確認したい。 |
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○金魚玉きのふは金魚泳ぎゐし 希望
【評】「老なりし鵜飼ことしは見えぬ哉」(蕪村・句集・夏)を想起させる。非在の哀しみであろう。
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△一匹の金魚の世界生かされて 直久
【評】人に飼われる一尾の金魚が目に浮かぶが、それ以上の心が届かない。 |
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○出目が好き天秤の桶覗き居り 美雪
【評】「出目が好き」と言いきって成功。 |
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○紙風船の金魚ゆらゆら客を待つ ムーミン
【評】「客を待つ紙風船の金魚揺れ」とどちらがよいかナ。 |
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○清らかな水ひきたてて金魚かな 瑛子
【評】金魚が水をより清くして(見せて)いるという句であろう。 |
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○赤提灯点して店の金魚かな 月子
【評】「赤提灯」と言えば、それで点っていることは想像できる。「店の」も要らないだろうね。この省略を踏まえて仕立て直せればさらによい。
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○金魚ひらり水の波紋や色散らす 静枝
【評】金魚から生まれる波紋に感動した句であろう。「水」を捨てられるとよいのだが。
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○出目金の生涯恋を知らず死す ひろし
【評】「出目金の生涯」などと大きく出られると、寓意を読み取りたくなってしまう。出目金の心があれば、それを負担に思うのではなかろうか。
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○生き生きと金魚や澄める暁の池 憲
【評】こうしたわかりやすい句をたくさん作るのが上達の道である。今後は「生き生き」した様子を「生き生き」と言わずに表現する稽古をしたい。「暁」の効果も感じられない。
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○ちゃぷちゃぷとそれで零さぬ金魚売り ひぐらし
【評】句の姿は整っている。 |
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◎向きかへる尾びれ大きな金魚かな 啓子
【評】このたびは、この句がもっとも安定感のある姿情を持っている。 |
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