わくわく題詠鳩の会会報70   ホーム
鳩ノ会会報70(平成27年11月末締切分)
兼題 一葉忌・鯛焼


◎ふと母の和鋏思ふ一葉忌        希望
【評】僭越ながら「和鋏を手に」としたいのだが。

◎妹の母似の写真一葉忌         月子
【評】「一葉忌」によって、顔が似ているだけにとどまらない余韻がある。

◎肖像の本名は奈津一葉忌     千年
【評】「奈津」は一葉の本名だから、この「肖像」は一葉でない方が味わい深くなる。

◎小間物の売り場賑はふ一葉忌   ムーミン
【評】きっと和装小物だね、「一葉忌」でそんな連想をさせるところが面白い。

○その馨りひきつぐ学府一葉忌   むらさき
【評】一葉ゆかりの学校が今も伝統を継いで現存する。もちろん作者も「その馨り」に共鳴しているのだ。

○休日の朝茶をやをら一葉忌      憲
【評】思い入れが強くなるので、「やおら」は要らないかも。

○一葉忌そぼ降る菊坂上りゆく    やすし
【評】「上りゆく」人を示す必要があるかも。


○菊坂を行きかふ人や一葉忌     貴美
【評】「人」を「女」とか「二人」とかもう少し具体化すると味わいが増すように思う。

○一葉忌風と登りし炭団坂      啓子
【評】「風と登りし」という主観面白いが、映像を結べない点で惜しい。

○をんな子になほ世はつらし一葉忌  由美
【評】辛いといえば、誰にだって辛いからね、この世は。そんなふうに思われてしまう点が惜しい。

○懸命に生きて肖像一葉忌      和子
【評】「肖像」が余計な説明になってしまうので捨てませんか。つまり、懸命に生きる人を一葉と決めつけない。そして中七(一葉忌の前)で切ることが出来れば、句に格が生まれると思う。

◎鯛焼きと明るき声のあがりけり  靖子
【評】平明にして秀逸。


◎鯛焼の尾にさびしさがついてゐる  酢豚
【評】山頭火をしみじみと思い出した。平明ながら真似の出来ない句。

○ポケットに鯛焼のある川堤    梨花
【評】あったかそうでイイネ。

○鯛焼きの頭を妻に尾を我に    ひろし
【評】むつまじき二人とみた。

○朝市に鯛焼き喰ふも旅ごころ   ひぐらし
【評】「鯛焼きを喰ふ」とする方が韻文の味わいを増す。


○鯛やきのポケット深し星の道     瑛子
【評】「鯛やきのポケット深し」がわからなかった。乞う教示。

○一尾焼き鯛焼がちゃと四十分     山茶花
【評】「四十分」がわからなかった。乞う教示。

 
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