わくわく題詠鳩の会会報57   ホーム
鳩ノ会会報57(平成25年9月末締切分)
兼題 干柿・露

○芋の露触るる刹那にこぼれけり    柴田 憲
■海紅評=表現はできているね。でも「触るる」必要はないように思うのだけれど。

○山なみの映える夜明けや露燦然    西野由美
■海紅評=表現はできているね。でも「映える」がない方が「燦然」が生きるね。

○渋柿を戒めのごと吊るしけり    酢豚
■海紅評=「戒めのごと」が重たいね。

○眉根寄せ熊彫る翁露時雨    ひぐらし(植田好男)
■海紅評=「眉根寄せ」に重心が置かれたせいで、「露時雨」の効果が弱まった。

○南天の葉先をこぼる露太し    若林 直久
■海紅評=中七と下五の緊張感が心地よい。だがそれに「南天の葉先」が似合うかどうか。

◎静かなる露あつまりて葉に遊ぶ    山茶花(小出富子)
■海紅評=露に命がある。但し「静かなる」はどうかな。例えば「次々と」とか「また一つ露ころがりて」とか、積極的に擬人化した方がよいかも。

◎露とくとくフランシスコは托鉢に    谷地元瑛子
■海紅評=「とくとくと落つる岩間の苔清水くみほすほどもなき住居かな」(伝西行・吉野山独案内)を承けて、「露とくとく心みに浮世すすがばや」(芭蕉・野ざらし紀行)が生まれた。それを「フランシスコ」という修行僧で承けたところに味がある。

○露呑んで仕事つづける子蜘蛛かな    月子
■海紅評=近頃のこの作者は、こうしたメルヘンの一味を楽しんでいる感じ。但し読者が「子蜘蛛」の仕事ってなんだろうかと迷うとしたら、そこに推敲の余地はある。

○我家にも露置く木木の育ちをり    礒部和子
■海紅評=大木に育って、今年も露を置いているというところに感動がある。よって「我家にも」は捨てた方がよい。

○吊し柿むかれて映えぬ祖母の背    千年
■海紅評=たぶん「映えぬ」が曖昧。柿と背に掛けているとしたら、俳句で掛詞は避けるよう提案したい。

◎投了を告げ干柿に手をのばす    堀口希望
■海紅評=囲碁か将棋か、手をのばすのはもちろん負けを認めた方であろう。

◎亡き祖母の話のつづき吊るし柿    千葉ちちろ
■海紅評=祖母の思い出話が干柿へと転じられたという。俳句はたぶんこのようにシンプルでよいのだと思う。

○風わたる隠居たのしや柿を干す    ムーミン
■海紅評=これも素直でよいにちがいないが、「風わたる」の効果を測りがたい。もしかしたら、別によい措辞があるかも。「柿干して隠居はたのし○○○○○」。ウーム、どうも思いつかない。

○かの翁の訪ねし嵯峨の吊し柿    三嶋泰
■海紅評=去来の落柿舎に滞在した芭蕉の『嵯峨日記』を踏まえたと思われる。

△まばゆくも亡き祖母編みし柿すだれ    むらさき
■海紅評=遠い日の懐かしい思い出か。但し「まばゆく」は饒舌すぎるので捨てたいね。また表現だけからは柿すだれが眼前にあるようにもとられる。その点を再考したい。

○干柿は赤い夕陽とよく似合ふ    天野喜代子
■海紅評=表現は整っている。「干柿と」とする方がもっとよいか。

 
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