わくわく題詠鳩の会会報48   ホーム
鳩ノ会会報48
兼題 聖五月・セル・時計草
文言葉なめき人こそいと憎けれ。
(清少納言・枕草子)
【聖五月】五月を聖母マリアを讃える月とするカトリック信仰による題。
◎ただ雨を見てゐる茶房聖五月 堀口 希望 陰影に富む景。
○娘と和解弾む会食聖五月 礒部 和子 「弾む」はいらない。
○スカイツリー空へぐんぐん聖五月 ひぐらし 「ぐんぐん」で季題と融合。
○馬に乗り背を正す子や聖五月 梅田ひろし 「背を正す子や」で季題と融合。
○水底の木洩れ日にゆれ聖五月 松村  實 「木漏れ日に」の「に」絶妙。
○シャボン玉ななつ七色聖五月 谷  美雪 「七色」で句になった。
○抱かるる子はみな天使聖五月 安居 正浩 美しき取合せ。
 母想ひそつと花置く聖五月 高橋  剛 初心の素直さを称える。
 聖五月ルリジシャの花青い花 谷地元瑛子 ルリジシャの説明に終わる。
 田に映る追憶の山聖五月 小出 富子 作者の居場所はどこか。
 水田は五月の空を独り占め 中村美智子 残念、水田の句になった。
 聖五月伝道師掲示かかげ立つ 櫻木 とみ 景情難解。
 空は澄み希望に満ちし聖五月 天野喜代子 季題との映発弱し。
 直子さん宇宙絶賛聖五月 天野 さら 季題との映発弱し。
 大空に小鳩巣立ちし聖五月 五十嵐信代 季題との映発弱し。
 友出来て一年生の聖五月 金井  巧 季題との映発弱し。
 さよならと遺句集の声聖五月 根本 文子 季題との映発弱し。
 生き切つてたうたう白寿聖五月 水野千寿子 季題との映発弱し。
 藍染の藍の深みや聖五月 つゆ草 季題との映発弱し。
 うつむいてゆく幼子の聖五月 大江 月子 季題との映発弱し。
 聖五月ロボットの弾く花の歌 吉田いろは 季題との映発弱し。
 朝の庭かぐはしきかな聖五月 西野 由美 季題との映発弱し。
 乾坤の光を曳きて聖五月 竹内 林書 季題との映発弱し。
【セル】セルジ(serge)。単衣着物・袴用の毛織物。肌ざわりよく初夏に持ちいる。
◎たたかれし記憶なき父セルコート 小出 富子 景情整う。
◎手鏡にセルの襟足うつしをり 松村  實 景情整う。
◎スカートに仕立て直すや母のセル 吉田いろは 景情整う。
◎セルを着て祖母の匂ひのよみがへる 安居 正浩 景情整う。
◎母語るセルの似合ひし祖父のこと つゆ草 景情整う。
◎セルを着て遺影の母の老ゆるなく 堀口 希望 景情整う。
◎セルを着て剣舞舞ひたる父なりし 天野 さら 景情整う。
◎ふれて見る父の形見のセルの服 谷  美雪 景情整う。
◎三越に祖母と求めしセルを干す 大江 月子 景情整う。
◎父の着しままなりセルに手を付けず 梅田ひろし 景情整う。
○セルを着し白寿の母は背筋伸び 礒部 和子 「セル着れば」「セルを着て」。
 捨てかねしセルの衣の色薄し 五十嵐信代 「色薄し」再考。
 父の影単衣のセルの裾さばき 水野千寿子 「父の影」再考。
 セルを着て母の青春父を待つ 米田 主美 「父を待つ」再考。
 復員の父の確かなセルの紺 根本 文子 「確かな」で輪郭がぼけた。
 川風に櫓太鼓やセルの人 ひぐらし 「櫓太鼓」の句になった。
 妻の五指形見のセルを繕ひぬ 金井  巧 「五指」がうがち過ぎ。
 風と共にまとへばセルの単衣かな 谷地元瑛子 「まとへば」で不明瞭になった。
 セルを着た父と縁日歩いた日 西野 由美 残念、縁日の句になった。
 セルの衿ほのかに樟脳匂ひけり 中村美智子 残念、説明になった。
 寒暖の激しき風土セルはよし 天野喜代子 残念、説明になった。
 キルト地を里に探して亡母のセル 櫻木 とみ 季題との映発弱し。
 季節はずれものをセルに出して売る 竹内 林書 季題再考。
 田に水を蛙の声にセル恋し 高橋  剛 季題再考。
【時計草】ブラジル原産の観賞用多年草。
    名は花が時計の文字盤に似ることによる。新題にて難解。
◎時計草押絵のやうに咲きにけり 五十嵐信代 「押絵」はひとつの発見。
 怪獣が地球にゐた日時計草 西野 由美 題意不確かにて、取合せ難し。
 玄関でたじろぎました時計草 谷地元瑛子 題意不確かにて、取合せ難し。
 森のおくの時計草が群生し 竹内 林書 題意不確かにて、取合せ難し。
 休みの日安楽椅子に時計草 高橋  剛 題意不確かにて、取合せ難し。
 職ひきて時計は止まる人生よ 天野喜代子 題意不確かにて、取合せ難し。
 人住まぬ家となりけり時計草 松村  實 題意不確かにて、取合せ難し。
 過ぎし日を語る木椅子や時計草 堀口 希望 題意不確かにて、取合せ難し。
 日が沈みスイッチオフに時計草 天野 さら 題意不確かにて、取合せ難し。
 今日もまた来るか疲れや時計草 ひぐらし 題意不確かにて、取合せ難し。
 登校の子を見守りぬ時計草 安居 正浩 題意不確かにて、取合せ難し。
 つる重し玩具のやうな時計草 小出 富子 題意不確かにて、取合せ難し。
 なんびとの生れ変りか時計草 吉田いろは 題意不確かにて、取合せ難し。
 日の高き路地に迷ひて時計草 梅田ひろし 題意不確かにて、取合せ難し。
 仕掛けもつ時計草に目を背け 米田 主美 題意不確かにて、取合せ難し。
 時計草を眺めて待つや来ぬ友を 中村美智子 題意不確かにて、取合せ難し。
 時計草路面電車の案内図 金井  巧 題意不確かにて、取合せ難し。
 時計草健やかな日の捩子を巻く 根本 文子 題意不確かにて、取合せ難し。
 時計草もうじき末子の誕生日 水野千寿子 題意不確かにて、取合せ難し。
 時計草見つけし家は今さら地 つゆ草 題意不確かにて、取合せ難し。
 時計草寝坊助我の守り神 谷  美雪 題意不確かにて、取合せ難し。
 時計草見ぬふりをすること多くあり 大江 月子 題意不確かにて、取合せ難し。
 花時計止めたる花を植え替える 礒部 和子 季題違い。
 御陵の森日時計の石光る 櫻木 とみ 季題違い。
海紅切絵図
而してヨハネてふ名や聖五月 海紅
少女期のセルの赤きや回顧展
移民史の流人の如し時計草
 
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