白山句会会報 No.5   ホーム

日時 平成24年4月28日
場所 (株)カルテモ・会議室

― 谷地海紅選 ―    

(◎)背伸びして日をさんさんと菫草 こま女
(◎)鶯のガイドに沸くやあやめ船 和子
(○)遠来の客もてなすや揚雲雀 喜美子
(○)もも色の砂糖菓子かな敷く桜 由美
(○)休耕田摘む人も無くつくづくし
☆ 以上句会における「海紅選」五句。推敲句を含む。
(○)春の雷不意に別れの予感して 馨子
(○)穏やかな葛西の海に風薫る 喜美子
(○)天遊を許されてゐる雲雀かな 良子
(元)朝まだき万朶の花の沈もれる 由美
(参)朝まだき万朶の花の静もれる 由美
(元)線路ぎはささやく声にすみれ草 富子
(参)ささやきは菫の花を見つけしと 富子
(元)泣き声と初お目見えの鯉のぼり 村愁
(参)泣き声に初お目見えや鯉のぼり 村愁
(元)鶯のガイドに沸いたあやめ船 和子
(参)鶯のガイドに沸くやあやめ船 和子
(元)置かれたるメモと草餅妻テニス 由美
(参)置かれたるメモと草餅妻の留守 由美
(元)葛西駅レトロな茶店に桜花 かずみ
(参)葛西駅レトロな茶店桜花 かずみ
(元)夏帽子似合ふピアスが光りおり 和子
(参)夏帽子似合ひピアスが光りをり 和子
(「良い句だネ」と先生よりの講評がありました。)
☆ 以上「海紅予選ノート」より

互選結果

(1) こんな時会ひたき人やハナミズキ 馨子 5
(2) 春の海廃船二つたゆたひて つゆ草 5
(3) 親許を離れる覚悟若葉雨 海紅 4
(4) 線路ぎわささやく声にすみれ草 富子 3
(5) 被災地の人に守られ滝桜 喜美子 3
(6) 春の雷不意に別れの予感して 馨子 3
(7) 相席の蕎麦をすするや春月夜 良子 3
(8) 忘られぬことを忘れよ月おぼろ つゆ草 3
(9) 天遊を許されている雲雀かな 良子 3
(10) アラスカに友情のボール四月尽 千寿子 2
(11) 立ち止まる度に棚田の桜かな 通済 2
(12) 葉桜や羽織の赤のにじり口 つゆ草 2
(13) 休耕田摘む人も無しつくづくし 2
(14) それぞれの思ひ引きうけ花筏 良子 1
(15) 泣き声に初お目見えの鯉のぼり 村愁 1
(16) 花筏切るにはおしい屋形船 和子 1
(17) 花びらと観覧車に乗り春惜しむ こま女 1
(18) 鶯のガイドに沸くやあやめ船 和子 1
(19) 厳冬で二十日遅れの蕗のとう 佳子 1
(20) 春憂ふ徒労の恋の物語 千寿子 1
(21) 松の芯夫の平らな飯の盛 無迅 1
(22) 置かれたるメモと草餅妻の留守 由美 1
(23) 穏やかな葛西の海に風薫る 喜美子 1
(24) 葛西駅レトロな茶店桜花 かずみ 1
(25) 風光る潮溜りの蟹犬とじやれ こま女 1
(26) 夏帽子似会ひピアスが光をり 和子 1
(27) 春惜しむ何かが動く忘れ潮 通済 1
(28) 走り出す見送りの子らに春の風 馨子 1

※ 一部推敲の結果を掲載しています。
   (点数は海紅選を除いてあります。「投句一覧」とは違っておりますので、お持ちの方は、ご
   注意下さい。)
 
  句会では、自分の出した句を採って貰いたいのは当然である。今回は五句選であるからチャンスは多い、一点でも入れば嬉しいもので、次の励みになる。しかし、誰に採って貰ったか、良い句を選べたかも問題になってくる。谷地先生の選は、他の誰も選ばない句のことも多い。今回も五句中三句はそうである。作るのも難しいが、選ぶのも難しいとつくづく思う。
  谷地先生は常に「日本語として整っていることを重要視する」とおっしゃる。「海紅予選ノート」を載せたので、どう変わったのかを学んで頂ければ幸いである。
  また、合評では、次の事が話題になったので、お伝えする。
・ 「て」止の句が、(2)と(6)にあるが、なるべく避けて言い切る方が良い。
   (2)たゆたひて→たゆたへる
   (6)予感して→予感する。或は、予感あり。
・ (11)「度に」で説明になってしまった。
・ (5)と(10)の時事句について「今は分かるが、何年か後に分かって貰えるのかという問題が有
   って、なかなか難しい」という意見が出された。
・ (8)と(10)の季語が動くのではないか。「月おぼろ」・「四月尽」でなければならない必然性がある
か。また、(8)は句が暗くなっているので「心を楽しい方へ転じるのが良い」と、先生からの
アドバイスがあった。
・ (25)情景はこの通りであるのだろうが、欲張り過ぎた。

参加者 
谷地海紅 内藤村愁 米田かずみ 小出富子 水野千寿子(ムーミン) 
つゆ草 菅原通済 伊藤無迅 礒部和子 こま女 平岡佳子 尾崎喜美子

欠席投句 
柴田憲 西野由美 宇田川良子 佐藤馨子

◆ 句 会 雑 感 ◆
 
「白山句会」は、平成二十四年度より、「芭蕉会議」世話人の持ち回りで行うことになり、その第一回を「芭蕉会議」サイト運営でお世話になっている内藤村愁さんが、担当して下さった。会場もカルテモさんの会議室を提供して頂いた。
句会場は地下鉄東西線葛西駅から程近く、パソコン事務はお手のものの内藤さんによって、
  投句は、あっと言う間に一覧表になり、互選結果も時を経ず、皆さんの手に渡る早業で、化石
  人間の私にとっては、驚くばかりであった。
   「白山句会」としては、実に九カ月振り、「芭蕉会議の集い」からでも半年近くが経っており
  責任を感じていたが、これからは、隔月に行われることになる。世話人以外の方からも会場候補が寄せられており、新しいご当地吟行が楽しみである。
   今回は今迄のような、御一行様ゾロゾロの吟行は行われなかったが、谷地先生は「地図を片手に旧江戸川べりを一人歩きして、妙見島を眺め」次の句をものす。そして、日焼けして会場に現れた。
      浦安といふ名やさしや蜷の道   海紅
   「このような気儘な吟行もあってよい」とのご意見には、おおいに賛成である。
   葛西駅徒歩〇分には「地下鉄博物館」、バスで二十分の所には「葛西臨界公園」があり、連休初日の二十八日はどちらも賑わっていたが、特に「水族園」は、土曜日だからまさか園児の遠足は無いだろうとの予想は見事に裏切られて、ごった返えしていた。子どもたちの声がこだましている。眼を輝かせて見入るその姿に懐かしさがこみあげた。
   こま女(中村美智子)さんが乗った園内一周の汽車型「なのはな号」に、次は是非乗ってみたい。鳥類園、バーベキュー広場、なぎさ公園なども有って、とても、一回では廻り切れない。それにしても、一人というのは何と侘びしいことか。
   村愁さんの読みが当たって、連休初日ということもあってか参加者は少なかったが、久しぶりの再会で、句会後の懇親会も盛り上がり、家庭的な料理を堪能しながら、話しに花が咲いた。  

☆ 次回予告
  ・ 6月30日(土)
  ・ 東武東上線志木駅 午前10時集合予定で、句会場は志木駅隣接ビルの展望会議室が取れました。
    勿論句会のみの参加もOKです。
    サイトをご利用にならない方は尾崎までお申し込み下さい。
  次回は、伊藤無迅さん・平塚ふみこさんがお世話下さる。詳細については、後日お知らせしますが、日程の確保をお願い致します。
   ( 今回より「白山句会会報」は、尾崎が担当させて頂きます。おいおい、皆様にも原稿をお願いしたいと考えておりますので、何分宜しくお願い致します。)

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