| 友来るや俄かに多弁受験の子 |
地下迷路抜け立春の陽を浴びぬ |
| 早春のミニコンサート始まりぬ |
囀りや野に満ちあふる五線の譜 |
| 塾の灯のひとつ残りし余寒かな |
断れば断れること余寒の灯 |
| 囀りのひたむきなれば野を去らず |
嫁がせし夜の連翹の花明り |
| 恋もせし激論もせし花堤 |
海棠に視野を占めらる今朝の雨 |
| 如月や弥勒菩薩の泣きぼくろ |
受話器よりかろき春愁伝はりぬ |
| ふるさとの梅の香りの葉書かな |
草に寝て空に溶けゆく蝶仰ぐ |
| 恋猫の一声闇を濃くせしめ |
花の宴のがれて花の影を知る |
| 着く駅ものぼりし丘も花辛夷 |
休止符ののち囀りの高まれり |
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