詩集『失わないで「青空」』   ホーム
   私の存在
あなたが家を離れて
とても軽くなった
と思った私の存在だったけど
帰省が終わった園の昇降口で
涙をこらえ 口をゆがめて
振り返ったあなたの顔
私の存在が
急に重く感じられて
突然
母が亡くなった朝の私の嗚咽が
肩のあたりを通り過ぎていった

ポツポツと灯りがともり始めた
夕暮れの道
路地まで迎えに出てくれた
母が思い出されて
<あなたのために長生きするね>
と ゆっくりと車を走らせる
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