2008年3月 歌仙「吾子の手」の巻(第二回興行)
千年
2008/03/06-14:22 No.[4389]

  吾子の手 

吾子の手の伸びて雛の微笑める     海紅
  唱和誘ふのどやかな声           千年
棟上げのめでたさ蝶も舞ひ出でて      希望
  風抜けてゆく方丈の庭            酢豚
月上るまで村長の話好き           海紅
  赴任の技師に濁酒注ぐ           千年

銀杏散るメトロポリスのド真ん中        希望
  メールで決めるお見合ひの席        酢豚
間男に指をかませて眉細く           海紅
  奥の方には刺青がある           千年
太秦へとぼとぼ歩く昼下がり         希望
  親権失くし旅にでてみる            酢豚
お金つて淋しがりやと夏の月          千年
  空蝉とまる表札の角             海紅
宿題は折れ線グラフ棒グラフ         酢豚
  ガバリと起きてみれば病床          千年
小窓よりひとひらの花流れきて        希望
  シテの面に陽炎の立つ            海紅
ナオ
心眼も借られ蛙の目借り時          酢豚
  西へ向け西騙し絵の鳥           千年
「偽」の年の次の今年は何の年?      希望
  軽薄短小入れ食ひの沼           海紅
雪霏ゝと行基菩薩の開きし湯        千年
  火鉢の灰にのを一つ書く          酢豚
祖母語る駆け落ちしたる時のこと      希望
  彷徨ひながらときめきながら        千年
秋出水ありて駅への道遠し         海紅
  荼毘所の隅に昼の虫鳴く          希望
月光のイラク十万越ゆる死よ        酢豚
  神を信ずる孤児に鶴来し          海紅
ナウ
海中にシーラカンスの黙在り        千年
  虹を眺むる洋上の島            希望
定年の終の棲家を探さねば         酢豚
  一所不住に淡きあこがれ          希望
世の中はかくても経けり花吹雪       海紅
  誰を待つのか卓の草餅           酢豚

平成二十年三月六日首 同四月五日尾
海紅 九
希望 九
酢豚 九
千年 九

千年 2008/03/08-18:11 No.[4391] 一瞬の空白を置いて、白山連句会第二回興行始まります。連衆の皆様、また、今回は見る、読むことに徹していただける芭蕉会議の皆様、どうかよろしく御願い申し上げます。
発句は海紅先生の「吾子の手の伸びて雛(ひいな)の微笑める」をいただきました。脇句。酢豚さんから、「じじばば帰る陽炎の村」、希望さんから「裏の藪より鶯の声」をメールでいただきました。私は、「唱和うれしく交わす白酒」(お内裏様とお雛様♪だが、白酒は付きすぎ)、「外套脱ぎし客のほろ酔ひ」(桃の節句の宴会に来た酒飲みの伯父さん、ちょっと離れすぎ)ということで、「唱和誘(いざな)ふのどやかな声」としました。脇句は同時同場、酢豚さん、希望さんの句はもちろん付いており、はっきりと情景の見える、聞こえる句なのですが、広く、あるいは隣の風景。雛の置かれている同じ空間を表現した千年の勝ち(捌きの特権、先輩失礼)ということで、脇句「唱和誘ふのどやかな声」でいきます。
それでは、希望さん、酢豚さん、第三を御願いいたします。
酢豚 2008/03/08-18:20 No.[4392]

第三
駆け下りる坂道春の海見えて 
陽炎の奥へ逃げたき心地して 
チューリップたまには余所見したからん

脇句で出した「じじばば」は「ぢぢばば」でしたね。
失礼しました。

千年 2008/03/09-08:23 No.[4393] 芭蕉会議の掲示板にも書いたのですが、今回は海紅先生、希望さん、酢豚さん、千年の四吟で行います。つけ方は膝送り。まず、四句目までそろったところで、その順でABCDABCDとつけていきます。BDの人は短句ばかりになるので、途中で順番を交代します。
芭蕉会議の方のコメントは、この興行が終った後でいただければと思います。
千年 2008/03/09-12:24 No.[4394] 表六句はじっくりいきます。
堀口希望 2008/03/09-16:14 No.[4395] 遅くなりました。次の3句を附けたいと思います。よろしく。
  ・棟上げのめでたさ蝶も舞ひ出でて
  ・今年また都踊にまねかれて
  ・メーデーの列をしばらく見送りて
千年 2008/03/09-16:24 No.[4396] 希望さん、どうも有難うございます。膝送りの考え方が少し違っていたようで、スタートの時点で連衆全員の意識統一をしておくべきでした。捌きの不手際です。申し訳ありませんでした。最初はきめず、4人がそろったところで、その順でつけていく。(途中で順を入れ替える)という認識でした。それでは、進めさせていただきます。
千年 2008/03/09-16:40 No.[4397] それでは、第三。付かず、離れずの場面転換がいよいよ始まるところと思います。ここは、希望さんの棟上げの句をいただきます。すっと転換できました。
春三句続きましたので、雑の短句を酢豚さん御願いいたします。三句まとまって出されたら、ほんとに捌きもやりやすいのですが、さみだれ式でも結構です。
酢豚 2008/03/10-09:20 No.[4398]

今までの句の自他場がよくわかりません。
そのことは考えずとりあえず第四

筵狭しと酒肴賑はう
民の竈を眺めゐるなり
大福帳を店の奥から
ドル安狙ひアメリカに行く(地名は駄目??)

千年 2008/03/10-19:47 No.[4399]

平日は、早朝か夜しか座に加われませんので、あしからず。さて、私は発句、脇は「自他半」(親の自分と吾子の二人が句にいる)、第三は「めでたさ」と言っているので「自」の句ととりました。ただ、自他場自他半の判断はそう見える、読める三分の理があればいいので、捌き、連衆によって認識の差があるかもしれません。打越の句によって自の句が他の句になる(しておく)こともあります。
いずれにせよ、自他場は「三十六歩一歩も帰らず」という連句の変化のためにある三句の転じ方で、この場合だと、「いずれにしろ人情の句が三句続いているから、4句目は場の句でいくか、あるいは人情有の句を続け、(打越(脇句)の)自他半以外の句を投じてみるか」となる、句作りの起点を与えてくれる方法だと思います。つまった時に連句の座を進める方法論だとも思っています。(以上あくまで私の認識)

そこで、四句目、四句目は「軽く」「あっさり」つけるのがいいようです。筆圧の高くない句、即物的な句でもいいと私は思っています。次は月の定座ということもあり、その前句はあっさりさが求められているのかもしれません。
地名、人名は表(発句以外)では、たぶんキャラがたちすぎて、序の段階では控えましょうということだと思います。
そこで、酢豚さんの句を参考に、「机に並ぶ外(と)つ国の酒」(場)あるいは「土産はいつも外つ国の酒」(自とでも他とでもとること可能)、あるいはもっと離れて「森の奥から吹いてくる風」(場・棟上の家は森近くに移動してしまった)とか・・・・考えてみました。
何か、もう一考御願いできませんでしょうか。

酢豚 2008/03/10-23:46 No.[4400] 追試よろしく!
  風抜けてゆく方丈の庭
  隣の村へ酒買ひにゆく
  さざなみ寄する湖のゆふぐれ
千年 2008/03/11-08:44 No.[4401] どうも有難うございます。それでは、方丈と蝶で素十の別荘?となった、「風抜けてゆく方丈の庭」でいきましょうか。
それでは、海紅先生よろしく御願いいたします。
海紅 2008/03/11-11:30 No.[4402]

 月の座をお与え頂き恐縮。こんなところでドウヤロカ。

月出づるまで村長の話好き
豆腐屋は酒もあきなふ夕月夜
石段に猫の眠れる良夜かな

千年 2008/03/11-21:03 No.[4404] 新橋の赤提灯を吹き消して いかに鳴りゆくわが身なるらむ・・・・
はい、月の句をいただきました。ここは「月出づるまで・・」の句をいただきます。ただ、打越に「・・出でて」があるので、「月上がるまで村長の話好き」とさせていただきたいのですが、よろしいでしょうか。
今、日本の村は大変。月が出たくらいで話を終っていたら、村がなくなる危機に瀕しています。月が上がる位まで話好きの村長でないと務まりません・・・
海紅 2008/03/11-23:08 No.[4405] 了解しました。
千年 2008/03/12-03:21 No.[4411] どうも有難うございます。我田引水の理屈も一興かと・・
千年 2008/03/12-03:31 No.[4412]

それでは、

希望つなげて食べる新米
森の匂ひに触れてやや寒む
赴任の医師に注(つ)ぐ濁酒
先ほどの我田引水的屁理屈からの発想で、危機の村に一つ希望が見えたということで、「赴任の医師に濁酒注ぐ」でいきます。濁酒は晩秋。
希望さん、ウラの折立を御願いいたします。

堀口希望 2008/03/12-10:56 No.[4421] 千年さん教えてください。
表六句には出せないものとして、神祇・釈教・恋・無常・述懐・懐旧・地名・人名・殺伐なこと(戦争・殺す・斬るなど)・病態・妖怪などを聞いているのですが、折端の「医師」は「病態」には入らないのでしょうか。かねてからの疑問ですので、この際教えていただければ幸いです。
市川千年 2008/03/12-18:14 No.[4425] 私も、その考えはよぎりましたが、ここはゆるめの式目ということでいいとするかどうか・・・分かりました、「医師」を「技師」にしていきましょう。
堀口希望 2008/03/12-22:32 No.[4428] とりあえず次の3句をお出しします。狙いは場所を田舎から都会に移す点に置いたつもりですが、自信は全くありません。遠慮なくダメ出しをしてください。
   不精髭剃りさはやかに出勤し
   秋声を聴く東京のド真ん中
   キャンパスの一隅にある虫の闇
千年 2008/03/13-01:35 No.[4430] どうも有難うございます。
ウラの折立、なにかさっと秋の場の句が欲しい。東京のど真ん中の句を取りたかったのですが、ここはもう一考、秋のすっきりとした場の句が欲しいような・・打越の海紅先生のなめらかな調子、575にガチガチにとらわれない句の流れを受けて、折立を・・改めて秋の一句・・恋の呼びだしでも・・・勝手なことをいっています。
どうでしょうか「銀杏散る大東京のド真ん中」では。
堀口希望 2008/03/13-09:37 No.[4439] 結構です。よろしくお願いいたします。
酢豚 2008/03/13-18:21 No.[4449]

早いだけが取り得です。
恋の句でいいですか?

メールで決めるお見合いの席
色と欲とを天秤にかけ
投げ込み寺の遊女悲しき
ノート破いて恋文にする

千年 2008/03/13-20:12 No.[4452] さっそく有難うございます。大意が変わらないよう、折立の大東京をメトロポリスにして、「銀杏散るメトロポリスのド真ん中」とさせていただきます。地名の楽しみはもう少し後にとっておきましょう。
そこで、既に酢豚さんから頂いている句から、メールの句をいただきます。
それでは、海紅先生よろしく御願いいたします。
堀口希望 2008/03/13-22:00 No.[4454] 千年さんへ
とり立ててコメントするほどのことではないのですが、一応。
「メールで決めるお見合いの席」」は自他半だろうと思いますが、打越の「赴任の技師に濁酒注ぐ」も自他半では?
千年さんも解説されているとおり、「自他場」のルールは絶対的なものではないですから、打越に障るというほど大げさなことではないと重々承知しています。ちょっと気になっただけです。
千年 2008/03/13-22:02 No.[4455] ここで、捌きの未熟さを露呈。四吟、膝送りで、さて、順番をどこで変えていこうかと、芭蕉七部集を久し振りにめくってみたところ、しまった!脇句を出した人が、表の月を詠み、次に発句の人が付け、次に4句目を詠んだひとが長句を付け、第三を詠んだ人が短句を付けている。猿蓑も炭俵も続猿蓑も・・・・いわゆる二飛び四飛びの方法を失念してました・・・ここでご相談、ここまで来れば、この歌仙はこのまま続けたいのですが、どこで、順番を変えていくか思案橋。とりあえず、ご報告。
海紅 2008/03/13-22:08 No.[4456]

恋ですか…。さてと、

添へ乳して女優志願を諦めし
間男に指をかませて眉細く
口癖の子はかすがひといふは嘘

堀口希望 2008/03/13-22:12 No.[4457] 千年さんへ(大したことではなく、ちょっと気になっただけです)
  裏二句目の「メールで決める」は自他半だろうと思いますが、打越の「赴任の技師に」も自他半では?
千年さんもご指摘のとおり、自他半は絶対的な式目ではないですから、どうということもないのでしょうが、一応ご注進…。雑音すみません。
千年 2008/03/13-22:12 No.[4458] 間男の指をの次がバグになっておりますので、とりあえずひらがなで御願いいたします。
千年 2008/03/13-22:15 No.[4460] メールは、メールの情報(相手情報)を見た自分が、見合いの席を決めたと解釈し、自の句でいきます。
堀口希望 2008/03/13-22:18 No.[4461] お詫び!  パソコン操作の不手際で同趣旨の書込みが二度入ってしまいました。重々お詫び申しあげます。
千年 2008/03/13-22:20 No.[4462] 「子」は発句で「吾子」があり、「添い乳」も子を連想させるので(少しへ理屈)、積極的な意味あいで「間男」を頂きます。
千年 2008/03/13-22:28 No.[4463] 間男を選んだはいいが、さて・・・ちょうど連衆の皆様の打ち込みが重なるハプニング、実況中継だ!
順番は次の月の座、ウラ七句目が海紅先生になりますので、そこで、考えましょう。
間男ねえ・・・指かまれたいねえ・・・
千年 2008/03/13-22:34 No.[4464] 恋文寄せる教え子の母・・・子はだめ。
恋文寄せる女生徒の母・・指をかませて、もう片方の手で、子の担任の先生に恋文を書くとは・・・なんというダイナミックな女だ・・・・ウララウララこの世は私のためにある・・・
千年 2008/03/13-22:47 No.[4465] 希望さま、この恋の落とし前をつけていただいてもいいですし(すみません、尻ぬぐいをさせているようで)、どっか別世界へ行かれても・・・
千年 2008/03/13-22:57 No.[4466] ここで失敗。メールと文・・・だめだ
千年 2008/03/13-23:00 No.[4468] 奥の方には刺青がある
これでいきます。落とし前よろしく!
刺青まで出たらここで恋離れでもいいかもしれません。
千年 2008/03/14-02:06 No.[4471] 「座の文芸 蕪村連句」暉峻康隆(小学館)や「一茶大事典」矢羽勝幸(大修館書店)等も見てみましたが、おおむね四吟は二飛び四飛びを基本としているようです。そこで、途中からですが、全ての連衆との付け合いができるように、長句、短句がかたよらないようにこんな順番をとりあえず考えてみました。
ウラ7句目(千年・月の長句)として、次に海紅(短句)、酢豚(長句)、千年(短句)、希望(花・長句)、海紅(短句)、
名残の表に入りまして、酢豚(長句)、千年(短句)、希望(長句)、海紅(短句)、千年(長句)、酢豚(短句)、希望(長句)、千年(短句)、海紅(長句)、希望(短句)、酢豚(長句・月)、海紅(短句)
名残の裏に入りまして、千年(長句)、希望(短句)、酢豚(長句)、希望(短句)、海紅(花・長句)、酢豚(挙句・短句)
少し変形ですが、ご勘弁ください。全員九句、発句と折立4人が分担、でいけます。
堀口希望 2008/03/14-10:44 No.[4477]

詠み順の調整ご苦労様でした。「二飛び四飛び」という言葉も初めて知りました。運用の仕方はまだよく理解できませんが…(この際勉強します)。
裏3句目よろしくお願いします。人情自と場の雑で作りました。

 ・サイン入り岩下志麻のブロマイド
  (恋っぽくなってしまいますかね。)
  ・「人生劇場・青春編」に血を沸かし
  ・太秦に来れば必ず映画村
  (「村」は「村長」に障りますか?)
  ・深川の路地にひつそり住み暮らし

酢豚 2008/03/14-13:09 No.[4481] 千年さんの「奥の方には刺青がある」は、他ですか???
千年 2008/03/15-01:48 No.[4490]

「村」の障り、同様なものは五句去りが基本でいきましょう。発句は特別として。
「太秦(うずまさ)へとぼとぼと歩く昼下がり」でいきましょう。
「刺青」は前句、打越からみて、今は自他半。

そうか、他ともとれますね。

海紅 2008/03/15-12:15 No.[4504] 自他半等の判断は、つまるところ「…と見て」という解釈の問題。どう読んだか以前に、厳格な規矩して存在すると思いこむと、一巻は硬直してしまうのではないかな。
千年 2008/03/15-13:50 No.[4506] どうも有難うございます。硬直が「軽み」の敵という感じでしょうか。困ったときのジジババ頼みということで・・
さて、次は酢豚さん。神祇、釈教、時事句何でもいかようにでも、自由多彩にご展開を。
酢豚 2008/03/15-17:37 No.[4512] 子の親権は男には来ず
宇宙基地ではドッキング今
アメリカ領と知りしサイパン
児童ポルノは厳罰にせよ(恋かな?)
笠と草鞋を旅の用意に
千年 2008/03/15-17:47 No.[4514] はい、それでは、「親権失くし旅に出てみる」でいきましょう。
(捌きが、投句された句を斧正していますが、もっとこういうふうにすれば句が整う、おもしろいといったことがあれば、お知らせください。衆議を通して、句が整っていく場合も多々ありますので)
千年 2008/03/15-18:03 No.[4515]

次は、夏の月でいきます。
夏の月「きぼう」をつなぐステーション
お金つて淋しがりやと夏の月
穴子棲む沈没船に月射して

世態人情・・お金でいきましょう。お金って淋しがりやで、ないところには寄ってこないのよね、と夏月のお告げがありました・・・
次は海紅先生の短句、御願いいたします。

海紅 2008/03/16-14:15 No.[4527]

 さて、〈淋しがり屋のお金〉に難儀しました。会釈三句、とるべきものがありますやら、よろしく。

空蝉とまる表札の角
海蛇浮いて船端に寄る
通用門に届く梅干

千年 2008/03/16-15:25 No.[4530] どうも失礼いたしました。
さて、空蝉で晩夏、梅干で三夏、海蛇も夏の気配・・夏の句は1句で捨ててもよし、2句、3句でも。
空蝉の句をいただきます。なんか、太秦から哀れな男路線をきてしまいましたが、空蝉と表札の角で、次への新たな展開がうまれそうです。
次は酢豚さんの長句、よろしく御願いいたします。
花の打越にあたるところですので、植物は避けてください。
酢豚 2008/03/16-18:49 No.[4533] 佐藤さん鈴木高橋田中さん
宿題は折れ線グラフ棒グラフ
登校の列の後ろに犬ついて
流れ来し島にあまたのポリタンク
千年 2008/03/16-20:37 No.[4536] はい、宿題の句をいただきます。夏休みの自由課題か?
さらりと別世界へ展開していただきました。三鬼でしたか、少年の算術に泣くとかなんとか・・・
酢豚さん、この付け筋はほんとに、有難うございます、大好きな付けです。のってきました。
千年 2008/03/16-21:27 No.[4538]

鍛冶屋樽屋の音絶えしまま
病はいつも紫の色
バカの壁から抜けた上人
ガバリと起きて病床を去る

ガバリ、でいかせていただきます。
それでは、希望さん、花の座を御願いいたします。
モトイ、ガバリと起きた場所は病床・・病体でいきます。

千年 2008/03/16-22:19 No.[4541] すみません、大意が変わらないよう「ガバリと起きてみれば病床」に斧正します。
千年 2008/03/17-19:05 No.[4545] 雑談・・・今日、文芸春秋今月号(4月)掲載の、作家・桐野夏生と外務省休職中の評論家・佐藤優の特別対談を読んでいたら、なんと「さびしがりやのお金」が出てきました。私はここからネタをもらったわけではないのですが、こんなこともあるのですね。因みに対談のタイトルは「「見えない貧困」がこの国を蝕む」でした。ご興味のある方は読んでみてください。
その、「お金つて淋しがりやと夏の月」に海紅先生が「空蝉・・・」の句を付けたとき、「会釈」(あしらい)という言葉を使われました。
「連句辞典」(東京堂)の会釈の項をひくと、「打越からの変化が難しいときなど、前句の人の容姿・持物・衣類または周辺の器材・食物などをもって程よくその場をあしらってゆく方法である」とあり、その例として、『猿蓑』の「市中は」の巻きの表「灰うちたゝくうるめ一枚 凡兆/この筋は銀も見しらず不自由さよ 芭蕉/たゞとひやうしに長き脇差 去来)があげられています。「銀」と「お金」・・金めのものはあしらっていきましょうということか・・・あしらう前にあしらわれてる日々ああ・・・
堀口希望 2008/03/18-00:34 No.[4548] 3日ほど出突っぱりの午前様で、パソコンに向かうのが今頃になってしまいました。ご勘弁のほど。名詞止めが4句続きましたので、動詞止めで作ってみました。
  ・小窓よりひとひらの花流れきて
  ・花一枝添へ花守の柩閉づ
  ・弘前の花の盛りに招かれて
  ・今年また吉野の花に酔ひもして
よろしく。 
千年 2008/03/18-03:45 No.[4550] どうも有難うございます。時場を同じくする座(連句の舞台)なら、弘前や吉野の背景にある希望さんの思いを聞きながら句を受け取ることもできるでしょうが、ここは、小窓か花一枝、どちらか。まだ、神祇、釈教でてない、そうそう無常がでてないので、柩もいいのですが、新たな希望がひとひら生まれたような、小窓の句をいただきます。
それでは、海紅先生御願いいたします。
海紅 2008/03/18-07:37 No.[4556]

折端は好きな場所です。さて、以下のような付句を案じました。

目刺を焼いて夢多き頃
シテの面に陽炎の立つ
海の見えたる牧開くなり

千年 2008/03/18-08:46 No.[4558] はい、目刺、陽炎で三春、牧開くで仲春。
ここは、季戻りを考慮し、また、「シテに陽炎」と「小窓に花」との付け味の妙味をいただき、シテの句をいただきます。
次は、酢豚さんの春の長句、三春か晩春で御願いいたします。
酢豚 2008/03/18-12:01 No.[4562]

なかなかハイピッチですね。
ペースに遅れそう。

おぼろ夜の絵巻を見たり伊勢源氏
レガッタを追うて走りぬ隅田川
心眼も借られ蛙の目借り時

千年 2008/03/18-20:46 No.[4570] どうも有難うございます。さて、いよいよ名残のオモテ。
ウラの前半で恋がきていますので、名残のオモテでは恋は中盤か後半部分にもっていきましょう。「恋の句にはその出所がどこということは特にない。歌仙では初折の表を除き、各折に一、二箇所が普通とされているが、発句はこの限りではない」(「連句辞典」)とあるのですが、20、30代ではあるまいし?ふと思ったので、とりあえずお伝えします。
さて、レガッタの句はうまく打越と転じているし(隅田川は付きすぎか)、伊勢源氏もそうで捨てがたいのですが、(とっておいて、どこかで、少し変えてまた出してください)、ここは前句のシテの面を、恋に流れていきそうな小面などではもちろんなく、遠い先祖の俤、幻、翁?人類の祖・・・と見て、そこに現代に生きている生身の人の心象風景(とことん眠い)をつけた心眼の句をいただきます。
面と心眼にみつめられ、付け句に難渋してますので、雑談等間をもたせてください。
千年 2008/03/18-20:50 No.[4571] ああそうか、心眼の主は僧ともとれますね。
千年 2008/03/18-22:33 No.[4574] 右へ向け右騙し絵の鳥(エッシャー)
勘弁してよ聖地騒乱(いつの時代も・・)
脚の水ぬく闘魂の人(123ダー猪木じゃないよ、前句とあわせ、格闘家の再生修行の一節だが・・眠い)
闘魂でいこうと思ったが、打越に面が・・顔と足・・これは肉体の打越。変われないなあ・・・
河童の気配じっと聞いてる(河童は夏か・・気移りでいってもいいが)
はい、決めました。「西へ向け西騙し絵の鳥」睡眠もやもや付け
それでは、希望さん、長句を御願いいたします。
酢豚 2008/03/19-09:50 No.[4584] 一番最初のページの「ナウ」は「ナオ」では・・!
千年 2008/03/19-12:31 No.[4587] 失礼いたしました。直します。
今日は夜遅く家に帰ることになります。忍びの洩らす個人情報・・・・
市川千年 2008/03/20-10:27 No.[4607] 今日は春分の日。さすがに、この休日は人間の頭では動かせませんね。こういう平日にぽっと入る休みが有難い。
堀口希望 2008/03/20-11:39 No.[4608] 春の嵐の中、町内会の総会の準備作業と俳誌「出航」の
編集作業に追われています。と言いながら、昨夕は横浜まで飲み会に出かけたりして…。
ともあれ駄句を3句。
  ・アラビアンナイト読み継ぐ老いの日々
  ・いうなれば虚実皮膜の間(あひ)に生き
  ・「偽」の年の次の今年は何の年?
よろしく。
千年 2008/03/20-13:19 No.[4610] はい、騙し絵に三つとも付いているのですが、アラビアンナイトでいきたいのですが、老いらくの恋はしばらくおあずけ。ウラで2句目、3句目に恋がきているので、恋はもう少し後にもっていきましょう。虚実皮膜か何の年?でいくか。ここは時事っぽく、とぼけて偽の年でいってみましょう。
それでは、次の短句を海紅先生御願いいたします。
酢豚 2008/03/20-14:40 No.[4612] 連句に?マーク使えるのですか??
表現の範囲広がるけど・・・
ちょっとびっくり!
千年 2008/03/20-15:09 No.[4613] 1回こっきり。!マークや?マーク、まあ1回ならいいか、という感じの捌きです。
海紅 2008/03/21-00:23 No.[4625]

 四字熟語に遊んで、

離合衆参同時解散
軽薄短小入れ食ひの沼

 恋はまだ先のことと言うが、

菜食堅持良縁を待つ
ねにかへるより思ひそめてき

千年 2008/03/21-20:20 No.[4639] 「はい、お待たせいたしました。良縁をワンカップ酒を飲みながら待っている千年です」「バカ野郎!お前みたいな奴をメダカ野郎ってえんだ」「何だよ、そのメダカ野郎ってえのは」「救いようがない」・・・箸休めの講談一席でした・・・ここは軽薄短小をいただきます。
千年 2008/03/21-20:44 No.[4640]

冬の長句。
冬もまたいいものだよと山を見る
雪霏霏(ひひ)と行基菩薩の開きし湯
木枯の海を抱きし古老あり

行基菩薩(688年−749年)、鉱脈を発見し、温泉を発見する、軽薄短小とは反対の自然を見分ける力をもった人物を付けてみました。「偽」を書いたのは清水寺の管主でしたか・・それを意識すると打越になりますが、ここは偽の句は世相とみて。
次は酢豚さんの短句。冬の句をもう一句いってみましょうか。
あるいは、冬一句で捨てて、雑でも。

酢豚 2008/03/21-23:45 No.[4642]

数で勝負!

鼻唄交り通る炭焼
歌詠み交す探梅の里
火鉢の灰にのを一つ書く
炬燵の中に手の動き出す

千年 2008/03/22-05:39 No.[4645] 火鉢をいただきます。早起きはネット俳諧の得。
それでは、希望さん、長句を御願いいたします。
堀口希望 2008/03/23-00:37 No.[4646] お彼岸の墓参に土浦・水戸・高萩に行ってきました。帰宅してパソコンを開くと「恋の呼び出し」。小生、恋は
苦手です。取り急ぎ3句。不可なら作り直します。
  ・老いらくの恋といふもの恥ずかしく
  ・祖母語る大正の世の新世帯
  ・やみくもにさて駆落ちをせしものの
千年 2008/03/23-12:57 No.[4648] 花見の酒で遅きお目覚め・・
ここは「祖母語る駆け落ちしたる時のこと」でいきましょう。
千年 2008/03/23-13:09 No.[4649]

愛を一滴葡萄酒のなか(失楽園か!)
ときめくときは髪に手をやる
至上の愛にひたる毎日
コルトレーンのジャズの流れる

ここはときめいてみましょう。次は海紅先生、長句御願いいたします。
と思ったら、書く手とやる手で打越、しばし待ってください。

千年 2008/03/23-13:26 No.[4650] 「彷徨ひながらときめきながら」でいきます。それでは、海紅先生御願いいたします。
海紅 2008/03/24-08:15 No.[4651]

秋出水ありて駅への道遠し
新涼の分校に来る一芝居
しなやかに花火の残す煙ゆく

 昨日卒業式でした。芭蕉会議の何人かにお目にかかりました。

千年 2008/03/24-20:52 No.[4653] はい、ここは恋離れの展開で、秋出水(仲秋)をいただきます。
以降、述懐、無常、慟哭・・あるいは、江田浩司さんの短歌にある「メランンコリックエンブリオ」「ピュシスピュシス」的な言葉でも、花までにあれば・・・
次は月の前句。希望さん、短句よろしく御願いいたします。
ああ、今日は檸檬忌か・・地雷でも何でも・・・酒も濁酒以外なら・・
堀口希望 2008/03/25-11:45 No.[4654] とり急ぎ4句。よろしく。
  ・棺を埋むる黄菊白菊
  ・三十五歳で逝きし子規の忌
  ・凶作を苦に自死したるとか
  ・灯に透かし見るボジョレヌーボー
   (ボジョレヌーボーは季語として定着していない、
    したがって雑の句? それとも新酒に準じて晩秋
    の句?)
千年 2008/03/25-21:24 No.[4655]

ボジョレは秋、晩秋でいくところもあるようです。
そこで、この名残のオモテは繰り返し表現が多いのと、個人名が出ているので、希望さんの句を少し変えさせていただいて、「糸瓜忌詠みし球児逝きしか」でいきます。糸瓜忌で仲秋。

ボストンの松坂の登板は今日か・・・

次は酢豚さんの月の句。前の夏の月の句が変な月なので、ここはくっきり場の句の月でも・・・三秋か晩秋で御願いいたします。

堀口希望 2008/03/26-00:13 No.[4656] 添削拝見、といっても小生の句の片鱗も見えない。できたら千年さんの句としてお出しいただけたら幸いです。(芭蕉が弟子の句を推敲するのあまり、弟子の句とは全く別のものになっている例は承知していますが…。)
千年 2008/03/26-17:48 No.[4660] 希望さん、どうも失礼いたしました。
糸瓜忌は没にします。(「球児」以降を変えるとなんとかなるかなと思いましたが、今考えつきません)
それでは、申し訳ありませんが、もう一考お願いいたします。
花の座までに無常、述懐がほしいので、ここの句は、あえてそれらにこだわりませんので。
今日は帰宅は非常に遅くなるので、明日拝見することになるかもしれません。それでは、よろしくお願いいたします。
酢豚 2008/03/26-19:44 No.[4661] あれっ!状況が変わってる。
球児に月をどうつけようか苦戦してたので、助かりますが・・・。
堀口希望 2008/03/27-00:57 No.[4662] 千年さん、ごねて申し訳なし。「糸瓜忌」の句、小生にはよく分かりませんでした。この場合には、糸瓜忌を句か歌にした高校球児(あるいは元球児)が実際に居り、しかも最近亡くなったという事実がなければ面白くないのでしょうが、スポーツ事情に不案内な小生は、そのようなことを知りませんでした。小生の全く知らないことを小生の作として発表されることに抵抗があったのです。
捌きが全権を握っていることも承知していますが、それでも自分を納得させることができませんでした。わがままをお詫びします。
さて、新規巻き直し。ご指摘のようにナオに入ってからリフレーン的な句がやたらに多いですね。気がつきませんでした。そこに注意しながら、2句作ってみました。
  ・荼毘所の隅に昼の虫鳴く  (場)
  ・籬の菊を棺にたむくる (3分の理で他)
眠くて降参。1時になってしまいました。もう1句は明日作ります。
千年 2008/03/27-07:56 No.[4663] 昼の虫、まがきの菊・・昼の虫でいきましょうか。
「球児」は、正岡子規とベースボールの短絡的な発想と、20になる前に亡くなった幼ななじみ、という感じでしたが、ちょっと句に無理があったですね。
堀口希望 2008/03/27-14:03 No.[4664] 昨夜の2句のほか次の1句を追加します。3句の中から治定してください。
  ・臨終近きうそ寒の顔  (場)
堀口希望 2008/03/27-17:35 No.[4666] 「臨終近き」は「場」ではなく「他」ですね。
千年 2008/03/27-19:43 No.[4667]

はい、ここは荼毘所の句をいただきます。秋出水、道遠しにうまく重なる、俳な句。
それでは、どうもお待たせいたしました。酢豚さん、月の句を御願いいたします。

このぶんでいくと、お江戸が満開の頃に巻き上がるかもしれませんね。

酢豚 2008/03/27-21:46 No.[4668]

ちょっと苦しくなってきました。

月光の届く机に筆・硯
月光のイラク柩の漂う街
はらからも信じられずに後の月
月光のイラクよ十万越ゆる死よ

千年 2008/03/27-22:15 No.[4669] はい、「月光のイラク十万越ゆる死よ」でいきましょう。「よ」の繰り返しは避けて。荼毘と死で「付き過ぎ」という意見もあるでしょうが、「擦り付け」という手法ということで。
それでは、海紅先生、御願いいたします。
山房の海紅 2008/03/28-16:11 No.[4671]

 もう一句、秋にしてみました。如何でしょうか。ひつじだの〈ひつぢ〉の漢字がワープロにない。おかしい。

昔戦場なりしひつぢ田
仔牛を売れば末枯るる山
神を信ずる孤児に鶴来し

千年 2008/03/29-01:38 No.[4672] 神を頂きます。
千年 2008/03/29-01:58 No.[4673] 虫と鶴、異生類は越(打越)を嫌わず。
千年 2008/03/29-03:13 No.[4674]

パソコンに吸ひこまれてる無言カフェ
一杯で終れば家が建っている
寝どころとなりぬインターネットカフェ

アフリカを思うか麒麟モーと啼く
海中にシーラカンスの黙(しじま)在り
シーラカンスとイラクの固有名詞の打越ですが、ここは勘弁していただきます。傷はあってもいい。
それでは希望さん、短句を御願いいたします。

千年 2008/03/29-11:21 No.[4675] 夏か冬を一句はさんでも。
千年 2008/03/30-00:12 No.[4682] 上野の夜桜、初めて行って、タイ料理をたべて帰ってきました。本郷の方から上野の方へ打ったという大砲の話も聞こえてきて、なんかよかったです。
山房の海紅 2008/03/30-08:55 No.[4687]

 上野不忍池は素堂隠棲の地。上野は奥の細道の旅にむけて、芭蕉が日光東照宮への紹介状をもらいに行った地。私的には、田舎教師のころ、某交響楽団の会員になって毎月の演奏を聴きに通ったところ。一人で落語を聞いたところ。ボクの「あゝ上野駅」でもある。昨日のボクはホームセンターまで往復し、三十年前に開発されて今は寂れている住宅街の染井吉野の並木をながめました。

  春やむかしこの駅を終着とせし   海紅

 まもなく花の定座が待ちかまえているので、ちょっと雑談をしてしまいました。

堀口希望 2008/03/30-16:23 No.[4692]

10時から地域の自治会の定例総会。かねて頼まれていた議長をやってきました。午後には愚妻と花見に行く約束でしたが、花冷えのため延期、花より柏餅でした。花の名所にはなかなか行けず、毎年近くの城址公園の桜(これがなかなかのもの)で我慢しています。
遅くなりましたが、3句

 ・博物館に俺の標本
  ・ホモサピエンスてふ宇宙破壊者
  ・虹を眺むる洋上の島

千年 2008/03/31-04:37 No.[4715] 三日見ぬ間の櫻かな、三日続きし酒の酔・・
俺の句をいただきます。
それでは、酢豚さん、長句を御願いいたします。
千年 2008/03/31-04:43 No.[4716] と思いましたが、「に」表現が続きましたので、ここはきれいな離れた付けの虹の句をいただきます。
酢豚 2008/03/31-09:32 No.[4733]

花の散らないうちに、とりあえず二句。

騒ぐ血をなだめ静かに待つ明日
定年の終の棲家を探さねば

千年 2008/03/31-19:33 No.[4770] 花の座の打越にあたるところ・・・
もう一句出していただく前に、失礼して、定年の句をいただきます。身につまされます・・・
それでは、希望さん、花前の短句を御願いいたします。
堀口希望 2008/04/01-11:32 No.[4789] 千年さんに質問。花前を雑とし、花を春、挙句を春とするやり方と、花前から挙句まで春3句続けるやり方があるように思うのですが、このあたりのルールはあるのでしょうか。
ここでは取り敢えず春の句2句と雑の句2句を出します。よろしく。 
 
  ・故郷の野辺に孫と草摘む
  ・遍路といふも遊び半分
  ・棚田の溝にもの動く影
  ・どこを掘っても文化財出る
千年 2008/04/01-20:11 No.[4798]

「芭蕉七部集」も春二句で終っているのが多いような。また、「連句協会報」平成20年4月(161号)の第34回時雨忌の歌仙をみても、7歌仙中、花前が春の(ような)句があるのは2歌仙でいずれも猫(生まれた猫、浮かれ猫)の短句でした。第33回時雨忌6歌仙中、花前に春の句はありません。
匂いの花の座の磁場力、あるいは挙句との合力で、春の句3句分以上いきているという認識なのか。1度蓼艸師に聞いたときは「最後だから、それは(3句続けなくても)いいでしょう」のようなことを言われたような・・・最後はこだわりなく、花の力を借りて、巻き上がっていきましょうということかもしれませんね。
「去来抄」に花の座を引き上げるときに「呼び出しの花」として「春季の句」を出す場合もあれば、「呼び出しを待たず」花の句を出す場合もある、とあります。

「連句辞典」に花前の項があり、「・・・あっさりと軽く詠んで、「月花」の句を出すときに苦労させてはならない」とあり、「去来抄」には、「四句目春をせず、八句目に高きうへものせず。花につかゆる遠慮也。(中略)花のまへ句に秋の字用捨すべし」
また、「花の前といはむ時、春の句などしたる、比興の事なり。花の付けよからんとする事なかれ。又、わざと付にくからんとする事なかれ」(「心敬法印庭訓」)等が引用されています。ちょっと理解が及ばないところがあります。比興は非興の意味で否定的な意味なのか。
海紅先生、いかがでしょうか。(花前で停滞してしまい申し訳ありません)・・・いくつか読んでみた感じでは、匂いの花の前には春の句は控えたほうがいいのではないかと思うのですが・・・

千年 2008/04/01-21:52 No.[4800] 前掲「去来抄」の四句目春をせず云々は、四春八木、百韻では、裏の四句目では春の句を詠んではならず、裏の八句目では高い木の句を詠んではならないことをいっているようです。百韻での花の座に対する障りを言っている説だと分りました。
また、近江の義仲寺が発行している「俳諧歌仙順序手引」(昭和46年発行)(起句が新年、春、夏、秋、冬の5パターンの歌仙の季節、雑の順序が書かれている)によると、「順序表は大体を示すのみ」と書いていますが、裏の花の座も名残の裏の花の座も、その前句は雑になっています。
心敬の比興は六義の詩の趣のことをいっているのかもしれません。
希望さん、勉強になります。
千年 2008/04/01-22:11 No.[4802] 連句辞典の巻末にある、蕉風俳諧変化表によると、「冬の日」から「続猿蓑」の39歌仙のうち、名残の花の定座(35句目)の「花の句」の前に春の句があるのは、「春の日」の2巻と「炭俵」の1巻の計3巻でした。春の日の方は芭蕉不参加。・・・これはおもしろい発見でした。
山房の海紅 2008/04/02-08:50 No.[4816] 「花の前といはむ時、春の句などしたる、比興の事なり。花の付けよからんとする事なかれ。又、わざと付にくからんとする事なかれ」(「心敬法印庭訓」)の「比興」は「品のないこと」「卑しい心」と言う意味と理解しています。心敬は芭蕉に通う自在な精神の持ち主なので、こう言うのでしょう。ボクも基本的に心敬に賛成で、四句目は花の定座を意識するよりも、やはり前句(三句目)と打越(二句目)と向き合うことが真摯な態度ではないかと考えています。
千年 2008/04/02-12:33 No.[4823] 海紅先生、どうも有難うございます。
「真摯な態度」・・・勉強させていただきました。
それでは、希望さん、希望さんのおかげで、私も長年の疑問がひとつ氷解したような思いです。
神と三句去りの遍路の句をいただこうと思っていたのですが、花前に対する認識を新たにしたところで、もう一考「雑」の句をいくつか頂けないでしょうか。よろしくお願いいたします。
堀口希望 2008/04/02-21:38 No.[4836]

追試験を受ける学生の心境で少々うんざりしています。

 ・一所不住に淡きあこがれ
  ・故郷は所詮帰るべからず
  ・Uターン現象いまも止まらず
  ・失せてしまひし白砂青松

千年 2008/04/02-23:06 No.[4839] どうも有難うございます。
一所不住をいただきます。
それでは、海紅先生、御願いいたします。
堀口希望 2008/04/02-23:48 No.[4840] 昼間からやっている俳句雑誌の校正に倦み疲れ、またパソコンに向かっています。といっても、思考能力はゼロですが…。さ
堀口希望 2008/04/03-00:07 No.[4842] 書き込みの途中で、へんな風になってしまい尻切れトンボになってしまいました。(続きを書きます。)
お願いですが、作り直しの場合、最初の句のどこが不適当なのか多少ヒントをいっていただけませんでしょうか。たとえば自他場で障るとか、季節が戻るとか、打越に障るとか、付き過ぎだとか、付け味が分らないとか等々。理由を付さないで作り直すように言われても、どこに留意して作り直したらいいのかわからず頭が混乱してしまう、というのが本音です。(千年さんのご意見をどうぞ。)
山房の海紅 2008/04/03-02:22 No.[4843]

 満尾近し。御世話になりました。さて花の句三句用意してみました。御斧正願います。

世の中はかくても経けり花吹雪
花のころとは故郷を捨てしころ
車椅子ゆつくり進め花万朶

千年 2008/04/03-20:13 No.[4860] 希望さんのご指摘、肝に銘じます。現場で言葉を交し合える座と違って、ネット連句には開始前にやっておく合意形成が必要なのかもしれません。いろいろ他の連衆の皆様もネット連句の繁栄、可能性のためのご意見、ご感想をお持ちだと思いますが、ここは急がせてください。ご意見等は挙句の後の37番ホールでゆっくりと。句の取捨選択に対する私の思いもそこで開陳させていただきます。チップインダブルボギーや山眠る・・スコア200以上の捌きが巻いていますのでどうかご容赦を。
千年 2008/04/03-20:30 No.[4861] はい、花の句をいただきました。
歌合わせではありませぬが、
車椅子の句・・たしか白山連句第一回興行の匂いの花も車椅子があったような、捌き自身のマンネリズムを打破するためにもこの句は負け。
故郷を捨てし・・絶唱・・「人生の一切が見える」ような。
花吹雪・・・今、まさに、ここで、4月3日の連衆、読者が時空、思いを同じくできる詩(うた)。
花吹雪の勝ちとさせていただきます。どうも有難うございます。
それでは、酢豚さん御願いいたします。
千年 2008/04/04-08:51 No.[4880] 車椅子の句・・この歌仙にははっきりと病体がでていなかったので、とれなくて残念。
今日は清明か・・・
酢豚 2008/04/04-09:53 No.[4885]

挙句はちょっと荷が重いですが・・・

誰を待つのか卓の草餅
池の水面を揺らす春風
遠足の子の町を見下ろす(発句にさわる??)
春灯つく山間の村
春の渚に残る足跡

千年 2008/04/05-09:14 No.[4990] そういえば、この歌仙行では濁酒は飲みましたが、何も食べてなかったですね。草餅いただこうっと。無事満尾。
堀口希望 2008/04/05-11:43 No.[5002] 千年さんへ。歌仙捌きありがとうございました。巻き上がった歌仙一巻と巻き上がるまでの過程はあらためて読み直し、私なりの勉強をするつもりですが、満尾にあたり先ずお礼を申しあげ、ご苦労を謝したいと思います。同時に勝手放題なことを申し、捌きはじめ連衆の皆さんに不愉快な思いをさせてしまった(に違いない)ことをお詫びいたします。連句の座に列するにつき一番大事なことは心のゆとり(連句を楽しむ心)なのだと気がつきました。しかし、そこが私にとっては一番御しにくいところでもありそうですが…。
とり急ぎ、お礼方々お詫びまで。
山房の海紅 2008/04/05-19:10 No.[5013]

希望さんの〈連句の座に列するにつき一番大事なことは心のゆとり(連句を楽しむ心)なのだ〉に感動しました。@前句の解釈と鑑賞をして自分は何を感じたか。A感じたことは打越に障らないか、ボクはこの二点だけを考えて遊ばせて頂いています。

 なお、この一巻の付合について、連衆以外の人たち(読者)が気に入った三句のとしだして、感想や質問をもらいたいですね。そのことで、みんなが連句の面白さを再確認する。
  お待ちしています。

酢豚 2008/04/05-20:09 No.[5019] お疲れさまでした。
今回は膝送りということで、担当が決まっていたので、
連句入門を片手に予習しながら考えました。
厳しかったのですがいい勉強になりました。
ありがとうございました。
山房の海紅 2008/04/06-08:49 No.[5085]

酢豚さんの感想を膝送りのよさの実感として拝読しました。出勝ちはどうしても競い合う心が先に立ちます。その結果、ボクが先に述べたような虚に遊ぶ心が後退し、全体に荒んでしまう。こう考えています。手練れが集まり、打々発止の座ができる場合は出勝ちもよいのですが、今の我々にはまだむずかしいかもしれません。蕉門の撰集の多くは膝送りですし、蕪村一派で評価が高い付合は膝送りであると思います。

 連衆を入れ替えて、三吟、四吟などを重ねるのがよいのではないでしょうか。

 以上、提案を添えて…。

千年 2008/04/06-12:31 No.[5094] 海紅先生、希望さん、酢豚さん、どうも有難うございました。捌きの器量不足で、取り落とした句、調合(アレンジ)しそこなった句等々多々あると思います。
○打越、大打越との印象が同じにならないように
○より具体的で(概念崩し)、おもしろいもの
○連句の思わぬ宇宙がひろがるもの
○捌きの唯我独尊
こんな気持ちで巻いてきました。仕損じた部分も多々・・
ほんとに、愉しく巻くことができました。連句、歌仙の宇宙の深みの一端をまた感じさせられ、より深く勉強できました。春のひとときの至福の時空に感謝!
海紅先生のご提案にあるように、読者に徹していただいた芭蕉会議の皆様から、「よく分らないけど、この付け合いが好き」とか「この三句の渡りがなんかいいね」とか、「ここはなんだコリャ?」とか、いろいろご意見、ご感想を是非この掲示版にお寄せください。連衆の思い、連句の宇宙がまた広がりますので・・・
大江月子 2008/04/07-10:01 No.[5150] 僭越ながらと思いつつ感想の口火を。感想も何も連句とはなんと恐ろしい、かつ近づきがたいものなんだと思いつつ拝見していました。それはただただ私の無知ということでもありますが、相手の顔の表情が見えない場所での連衆のやりとりを文字で見ているということが多分より連句の作法を知らないことに不安を抱かせているのではないかというのが私の分析です。それを思うと初めの頃みなさんでいうならばむちゃくちゃに言葉を出し合ってすすめた連句のなんとも楽しかったこと…。ネット上の言葉遊びに連句の形式を借りるという新しい連句ももしかしたらありかなと思ってみました。
千年 2008/04/07-19:47 No.[5183] 月子様、どうも有難うございます。連衆の皆様の尊顔は芭蕉会議の先輩ですから必ず浮かんで巻いておりました。
ここは月子様の大道、連句も詩と演劇の舞台と同じ・・なんでも言って頂戴。
相手業ですから連句の醍醐味は他者の句との交流、バトル・・・・・レフリーおきしきな・・・
言葉遊びで、例えば、前句付け、575なり77の句に非同時多発的に付け句を出してその面白みを競うのは、ネットで一番楽ですが・・・・
今日は中学高校の同級生の伊藤という友達からなぜか「文佳人」という酒を自宅に宅急便で送ってきたもらったのを、ぺろりとやったところなので、失礼があったらすみません。それでは・・・前田嘉代子という詩人から、「言葉が呼吸している」という詩に対する思いを語られたことを思い出しました。
大江月子 2008/04/08-08:49 No.[5201] 千年さんお疲れのところ早速思いやり深いコメントをありがとうございました。いえいえ、もちろん連句への畏敬の念を抱きつつ生涯の憧れと課題にしたいとは思っています。「言葉が呼吸している」含蓄のある言葉ですが、それだけに曖昧ですね。たしか「芭蕉会議」の集まりの帰りでしたか、千年さんとかなり長い時間電車をご一緒したときに、世の中狭いの言葉通り二人とも全く違った場所で前田嘉代子を知っていたことが判明したのでした。そこで私の思いますには、千年さんと前田嘉代子さんの関係については深く問いませんが、たぶん私の知っている前田嘉代子と千年さんのご存じの前田嘉代子はきっととても違っているような気がします。そこで、なお「言葉が呼吸している」の意味が複雑になってくると……。先生!千年さん!なんでもかんでも書けとおっしゃってくださってうれしいです。
三木喜美 2008/04/08-17:40 No.[5202] 前回続き今回の連句でもやはり自他場について私はまだ理解出来ずでしたが、毎回楽しく拝見させていただきました。特に「吾子の手の・・・」の発句から続く6句の何と伸びやかで心温まる句であることにさすがと感心しきりです。また「ウ」は間男とか刺青とかドキッとするような言葉の後に「小窓よりひとひらの花・・」「シテの面に陽炎の・・・」の美しい句が並び私としてはこの2句がとても好きです。連句は絵巻の如く次々と場面が展開されて読む側としては想像の世界が広がりとても楽しいものであることを改めて認識した次第です。
千年 2008/04/08-22:16 No.[5203] 三木さん、どうも有難うございます。
月子様、月子様、深く関係を電車のなかで問われた月子様、前田さんがほんとに迷惑し、大笑いすると思いますので、「言葉が呼吸している」認識論争は句会の時にでも直接お会いしたときに御願いします。全くかんべんしてくれろ・・・ここで、恋の座もどきを出してどないするねん。言葉が呼吸している、は曖昧だとは思いません。詩の原理の一つだと思います。
大江月子 2008/04/09-09:23 No.[5204] ほほー、恋の座もどきだったですか。前田さんは苦労人だからおもしろがって大笑いしてくれると思います。「言葉が呼吸している」御説ごもっとも、でも論争するにはこの年寄りには荷が重い気がします。この場限りでということで。おてやわらかに。また電車に乗りましょう。
千年 2008/04/09-21:11 No.[5247]

どうも月子様、有難うございます。人名の固有名詞は「オモテ」は禁止で、その面白さはウラへもっていくということの式目の意味がやっと分ったような気がしました。

ここで、月子様と三木さんの連句のルールに関するご発言に思いを・・・
例えば、野球で三球(ストライク)三振・・・これはゲーム、プレイを続けるため、試合をテンポよくするため、ピッチャーのため、ひいては野球そのものを面白くするためのルールか美学か・・・
式目、去嫌いの連句の規則は、連衆に規則を押し付けるというものではなく、連衆同志が気持ち、感性、価値観、美学を基盤のところで共有していきましょう、同じくしていきましょうというものではないでしょうか。
そして、その共有、同じ感覚がマンネリズム、予定調和に陥らないために、三十六歩一歩も帰らずの「変化」が基調にある。
そんな文芸だと思います。

千年 2008/04/14-19:54 No.[5261] 織田信長が連衆にいたら・・・出してもらった句を斧正しようものなら、こちらの首が・・・昔の連歌師は命がけの面があったかも。