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 ■200701_01_akapen
 事務局   2007/01/18-17:21  No.[372]
    冬籠り紙の鍵盤弾いてゐる

尾崎喜美子   2007/01/18-20:07  No.[373]
 
    その昔、ピアノは学校に一台だけでした。
ピアノ?エレクトーン?オルガン?紙の鍵盤で練習なさっているのですネ。
その、優しい調べと切なさが伝わってきます。
 

安居正浩   2007/01/20-13:13  No.[376]
 
    弾いているのは、自分でしょうか、それとも子供?
冬籠りの厳しさよりも、ほのぼのとしたあたたかさを感じます。「紙の鍵盤」がいいのでしょう。
好きな句です。
 

小出富子   2007/01/20-23:37  No.[377]
 
    指の位置を正確に、ドレミファを弾くのがやっとの頃、紙の鍵盤で練習した事があります。「冬籠り」には、紙の鍵盤で弾いていることを表現しているように思われます。今では、上達して楽しく弾いている事でしょう。
 

根本文子   2007/01/23-22:56  No.[382]
 
    古くは、地上部が枯れて地中に籠もる草木を指していたとも言われる「冬籠り」、北国の暮らしが様々に想像されます。この句はやはり「紙の鍵盤」がよいですね。積極的に上達しょうとするのではなく、そのつれづれにふと弾いてみる紙のピアノ、心のゆらぎが感じられます。

  冬籠りまたよりそはん此はしら   芭蕉
 去年の大寒に伊賀上野の芭蕉生家を訪ねました。庭にこの句碑があります。芭蕉にとって旅寝ではなく、懐かしい柱に凭れての「冬籠り」は、万感の思いと共に、さぞ満ち足りた閑居であっただろうと思いました。
 

菅原宏通   2007/01/24-14:22  No.[384]
 
    「冬籠り」とは喜んで受け入れる行為なのでしょうか、それとも自然環境でやむなく甘受する行為なのでしょうか?
歳時記の掲句をみると殆ど鬱屈した句で、表題のような明るく前向きに捉えた句は少ないですね。変な見方でしょうか?
私も迷うのですが「ゐる」が良いのか「をり」が良いのか判りません。

 

堀口希望   2007/01/24-21:48  No.[386]
 
    私もとてもいい句だと思います。「紙の鍵盤」がいいですね。弾いているのは「私」でしょう。
ところで、重箱の隅をつついたような私見をひとつ述べさせてください。
私は、「冬籠り」は「冬籠」の方がベターではないかと思います。なぜなら第1に、「冬籠り」とすると「冬籠る」という動詞の連用形なのか、名詞なのかがはっきりしないからです。言い換えればここで切れるのか、切れないで「紙の鍵盤弾いてゐる」に続くのかがはっきりしないからです。第2に、広辞苑で「ふゆごもり」を引くと、確かに「冬籠り」が出てきますが、歳時記の「冬籠」に比べるといかにも間延びした感じがするからです(これは私の偏見かもしれませんが…)。
皆様のご意見もお聞かせください。

それから、忘れていました。「ゐる」か「をり」か。
口語か文語かということでしょうが、私の好みは「をり」ですね。


 

千葉ちちろ   2007/01/24-22:19  No.[387]
 
    私も希望さんのご意見に賛成です。
なんとなく引掛っていたんですが、「冬籠り」は動詞なのか名詞なのかはっきりしませんよね。
それによってあとは好みになるでしょうけど「ゐる」か「をり」になるのでしょうか。私も「をり」の方が好きですね。

 

菅原宏通   2007/01/24-23:06  No.[388]
 
    堀口さん、千葉さんのいう通り切れからみても「冬籠」が正しい使いかたですね。良くわかりました。多謝。
冬籠を動詞から名詞に変えて状態表現としても積極的状態か、受動的状態かの問題は残ります。裏日本ほどの雪国ではありませんが、根本さんより北国育ちの私の冬籠のイメージは次ぎのような受動的俳句、鬱屈した、悶々とした、雪よやんで欲しい、春を待ち焦がれる句にならざるを得ません。
’座と窓の五歩の宇宙や冬籠’
この句にたいするコメントは不要です。



 

濱田惟代   2007/01/25-21:32  No.[391]
 
    この句は寒いためお年寄りが外に出られず、紙の鍵盤で遊んで冬籠をしている場面の句だと思います。冬篭は若い人や子供には使わないでしょう。自分の動作だったら「をり」を使うかもしれません。見ている人の句とすればワ行の「ゐる」でよいのではないでしょうか。紙の鍵盤で遊んでいるのを切ない気持でみている人を感じます。古語辞典には「うつくしうてゐたり」「ゐたる大人」「この御子のゐ給ふべき」などあり、ほかの人に使っている例があります。
 

堀口希望   2007/01/25-23:00  No.[392]
 
    濱田さんのご意見にひとこと。濱田さんが例に引いておられる「うつくしうてゐたり」ほか2例はいずれも「そこに居る」意味の「動詞」です。一方、この句の作者は「弾いてゐる」と「ゐる」を補助動詞として使われているのですから、使い方がちょっと異なると思います。
しかし、古語辞典を見ると(小生が見たのは旺文社のもの)、「ゐる」の項目の最後の方に、「補助動詞ワ行上一段活用」として「動詞の連用形または助詞「て」について動作・状態・結果などの存続を表す」とし、例として「…と待ちゐたるに…」がありました。この句を文語表記とすれば、この例に該当するのではないでしょうか。
いずれにしても文法上の問題は何もなく、句の調子や好みで作者が決めるべきものではないかと思います。



 

濱田惟代   2007/01/26-18:11  No.[395]
 
    堀口さんありがとうございました。おっしゃるとおりです。早飲み込みでした。確かに、例文は居るの意味に使っています。動詞について何何しているという使い方がここでは適しています。補助動詞の居るは自分でもほかの人にもつかえるわけですね。居るとをりの使い方は同じでよいのでしょうか?
 

吉田久子   2007/01/28-14:18  No.[399]
 
    みなさん、コメントありがとうございます。作者は吉田久子です。
  
  冬籠りまたよりそはん此の柱 芭蕉
この句に触発されて作りました。根本さんは芭蕉生家を訪ねて冬籠りの句を実感されたのですね。濱田さんの推測通り寒さに弱い老人の句(笑い)です。つれづれに家の柱に背をもたせかけて追想しているうちに昔々紙の鍵盤で練習していたことが思い出されて…。尾崎さんや小出さんの情景と同様でした。“あたたかさ”“優しい調べ”と同時に“切なさ”“心のゆらぎ”まで感じとってもらえて嬉しいです。今も紙の鍵盤で続きを弾いているような気がします。

 堀口さんのコメントを受けて
*「冬籠り」か「冬籠」か。
深く考えず「冬籠り」としたのですが「冬籠」がいいですね。確かに切れがはっきりします。歳時記大切に。

*「ゐる」か「をり」か。
「紙の鍵盤」と合うのではと思い「弾いてゐる」と口語調にしたのですが。ご指摘のように中途半端な感じもします。文語調だと
  冬籠紙の鍵盤弾いてをり
いいですね、ありがとうございました。

濱田さん・菅原さんへ
文語の「ゐる」「をり」の区別私もよくわかりません。

 

菅原宏通   2007/01/28-19:18  No.[400]
 
    藤田湘子が初心者向けの本で「をり」「なり」「たり」の使い方の解説で次のようなことを言っていることをその後(立ち読みで)発見しましたのでご参考までに。
「をり]は口語で言えば「ゐる」だから、いまそのことがそこで行われている、その状態をそのまま続けているといったことを表す時に用いる。概ね穏やかな情趣である。
名句の大半が文語調なので掲句はすべて「をり」でした。語感はどうも「をり」の方が落ち着く感じもします
 

濱田惟代   2007/01/29-23:53  No.[406]
 
    菅原さん、ありがとうございました。いい勉強になりました。意味は同じで文語ではをり、口語ではゐるですね。をりの方が歌や俳句では言い切るかんじでしまりますね。
 

根本文子   2007/02/10-14:36  No.[467]
 
    「冬籠」か「冬籠り」か?については、私の歳時記も「冬籠」なので普段はそうしています。只、芭蕉句については小学館の『松尾芭蕉集1全発句』(井本農一、堀信夫)に従いました。「冬籠りまたよりそはん〜」です。
 

天野さら   2007/03/15-22:54  No.[1429]
 
    カルチャーの国文学の先生に「をり」と「ゐる」の違いについてお聞きしましたところ、
「をり」は謙譲の意味がある語で、「ご主人はをりますか?」という使い方はしない。自分のことをへりくだって言うときに使う語である。。
「ゐる」は座っている、そこに居るという意味煮の場合に使う語である。ということでした。

 

吉田久子   2007/03/19-11:53  No.[1430]
 
    天野さらこと濱田さん

明快な説明でよくわかりました。動詞を補助動詞に用いた場合にも動詞本来の意味や語感は残るようです。ありがとうございました。

 



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